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地域に根差した高齢者医療・介護を推進

地域に根差した高齢者医療・介護を推進


院長(ひが・としお)

1973年北海道大学医学部卒業。旭川医科大学第2病理学講座助手、札幌北楡病院内科部長、
札幌開成病院院長などを経て、2005年から現職。医学博士。

 沖縄県名護市で1991年に誕生した琉心会。慢性期病院をはじめ、有料老人ホームや訪問介護事業所などを展開する。へき地を抱える本島北部地域で、都市部への人口流出や高齢化が深刻化する中、総合的な高齢者医療・介護を推進する同会勝山病院の現状と展望を聞いた。

―病院の特色、琉心会としての取り組みは。

 勝山病院は1991年に設立。隣接する介護老人保健施設「あけみおの里」とともに介護療養型病院としてスタートしました。当初は154床全部が療養型でしたが、13年ほど前に小泉内閣が打ち出した慢性期病床の大幅な削減策が転機となりました。長く入院する必要がない患者さんも結構いましたし、北部地域にリハビリ病棟がなかった。そこで40床をリハビリ病棟に変えました。今は82床まで拡大し、回復期リハビリ病棟と医療療養病棟の2本柱で運営しています。

 患者さんのほとんどが北部地域在住です。平均年齢は85歳ですが、リハビリには20代の患者さんもいます。最高齢は104歳の女性。大腿骨骨折の手術後に当院でリハビリを受け、最終的には歩行器で帰れるほど回復しました。北部地域の急性期病院だけでなく、中南部の大病院で難しい手術を受けた患者さんも紹介されてきます。地元でリハビリし、在宅復帰を目指すことができると喜ばれています。

 琉心会ではほかに、住宅型有料老人ホーム「りゅうしん」、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、訪問介護事業所などを展開してきました。全職員は350人ほど。地域雇用の一翼を担っています。

 高齢者医療・介護をより総合的に推進するため、2017年に「りゅうしん地域医療包括ケアセンター」を開設。介護保険サービスの利用や医療、福祉、介護に関する一元的な相談窓口を設けました。なかでも北部地域で唯一の「訪問リハビリ部門」は、住み慣れた自宅で効果的なリハビリが受けられるため、退院後の寝たきり状態を防ぐことができると評判です。10人の専門スタッフが北部全域を奔走しています。

―課題は。

 人材不足が課題です。特に国家資格が必要な医師や看護師、薬剤師の確保が難しい。リハビリや介護はとにかくマンパワーが求められる仕事。今は看護師の1・5倍の介護士を雇用して現場に対応しています。

 看護師については、病院独自の奨学金制度で毎年1〜3人の学生を北部看護学校に推薦し、卒業後の人材を確保しています。同校から就職した看護師は30人を超えますが、辞めたのは3人だけ。定着率も高く、よく頑張ってもらっています。

 薬剤師なども同様の奨学金制度で育成したいと考えていますが、募集をかけてもなかなか集まらない。都市圏から通勤するには距離が遠く、こちらで就職するには移住を迫られます。

―今後の展開は。

 われわれの役割は、急性期の治療を終えた患者さんをどうやって元気にして自宅に帰すかということ。一人ひとりの患者さんについて密に情報を共有し、チーム医療で取り組んでいます。院内の地域連携室では退院後のスムーズな在宅復帰を図り、老健施設など北部地域の関連施設と連携を強めています。今後はこの流れをより「見える化」したり、情報共有の仕組みを効率化したりすることで、さらに充実させていきたい。

 また、一時入院の病床も2020年1月をめどに新設の予定です。打撲や点滴だけでは入院できず、医療行為が必要と判断される病名がなければ治療を受けられない方が多い。そうした患者さんも受け入れ可能な「地域包括ケア病床」を8床用意します。ベッドを持たない開業医からの期待も大きく、レスパイト入院などさまざまな状況に融通がきく病床として、広く利用してもらいたいと考えています。

医療法人琉心会 勝山病院
沖縄県名護市屋部468-1
☎0980―53―7777(代表)
http://ryushinkai.jp/katsuyama/

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