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地域と連携しながら強みを生かす病院へ

地域と連携しながら強みを生かす病院へ


院長(まつた・もりまさ)

1976年岩手医科大学医学部卒業。
盛岡市立病院、岩手医科大学医学部産婦人科学講座、盛岡赤十字病院副院長などを経て、
2014年から現職。

 盛岡医療圏における中核病院として2020年4月、開院100周年を迎える盛岡赤十字病院。災害救護や地域医療機関との連携を基本方針に掲げるほか、周産期医療にも積極的に取り組む。これらを陣頭で指揮する松田壯正院長に話を聞いた。

―災害医療の体制についてお聞かせください。

 赤十字病院として、災害医療・救護に取り組んでおり、1996年には岩手県基幹災害拠点病院に認定されました。救護方針を決定する災害コーディネーター、DMAT(災害派遣医療チーム)、dERU(移動型の仮設診療所)などを常時配置し、災害が発生した際は、即座に対応できる準備が整っています。

 その活動は岩手県内にとどまらず、東日本大震災や熊本地震の被災地など全国各地で活躍しました。最近では、2019年10月に台風19号の被害を受けた宮城県丸森町へ、DMATを派遣しています。

―地域医療機関との連携も大きな特徴ですね。

 まず挙げられるのは、遠野市の公設助産院「ねっと・ゆりかご」との連携です。遠野市の出産数は年間200件ほどありますが、地元にはお産ができる医療機関がありません。

 そこで市は2007年に助産院を開設し、周産期医療が充実している当院と嘱託医療機関契約を締結。インターネットを介し、胎児の情報などを共有するシステムがスタートしたのです。これにより、妊婦さんは遠くまで通院しなくとも専門的な検診を受けられるようになり、安心して出産を迎えることができるようになりました。

 また、2016年に地域医療支援病院として認定されて以降、かかりつけ医や介護施設との連携を推進しています。「地域医療連携室」を設け、患者さんの紹介があった場合は30分以内に検査・診療方針などを決定。逆紹介も連携室が一括して対応するなどスムーズな調整を実現しました。

 当院の患者さん自身が、かかりつけ医を探すことも可能です。病院入り口に設置したタッチパネル式のモニター「どこだ兵衛(べえ)」により、約90の連携医療機関の中から希望の施設を検索することができます。

 地域医療連携では「在宅療養後方支援」も行っています。介護施設などと提携し、事前に在宅患者さんの情報を登録してもらうことで、緊急時には当院が速やかに対応するシステムです。現在は八つの施設、計195人の患者さんが登録されています。今後も、さらに数を増やしたいですね。

―病院のその他の強みは。

 産科や小児科などの周産期、外科、血液内科の入院患者さんが多く、中でも周産期は顕著です。当院における2018年度の出産件数は約780件で、岩手県全体の約10%を占めています。これは大きな強みですので、今後も周産期医療や産後ケアに積極的に取り組んでいきます。現在は通院型の産後デイケアを実施していますが、いずれは宿泊型の導入も視野に入れています。

 さらに意欲ある職員たちも強みになっています。他病院での長期研修や内外での勉強会など、当院では積極的に職員のキャリアアップをサポートしており、資格を取得している看護師やスタッフが数多く在籍しています。彼らの存在は当院の基本方針の一つである「良質な医療の提供」に大きく貢献しています。

―今後について。

 人口減少や医師不足など、地方医療を取り巻く環境は厳しさを増しています。当院としても、医師や助産師の確保には苦労しているところです。しかし、だからと言って医療の質を落とすことはできません。

 今後も地域の医療機関や行政と緊密に連携し、当院の持つ周産期医療などの強みを生かしながら、地域の皆さんの生命と健康を守っていきたいと思います。

盛岡赤十字病院
盛岡市三本柳6地割1―1
☎019―637―3111(代表)
http://www.morioka.jrc.or.jp/

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