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地域づくり活動から自立生活を支える

地域づくり活動から自立生活を支える

医療法人共和会  浜村明徳 名誉院長(はまむら・あきのり)
1975年長崎大学医学部卒業、同整形外科教室入局。
長崎労災病院整形外科、国立長崎中央病院整形外科、
国立療養所長崎病院副院長などを経て、
1998年南小倉病院(現:小倉リハビリテーション病院)院長。
2013年から現職。

 超高齢社会を迎え、地域包括ケア体制をどのように構築するかは各地域の課題となっている。小倉リハビリテーション病院のトップとして長年地域リハビリテーションに関わってきた浜村明徳名誉院長に、地域包括ケアでリハビリテーションが果たす役割について聞いた。

―地域リハビリテーションの視点から見た地域包括支援とは。

 地域リハビリテーションでは、住み慣れた地域で障害のある人や高齢者やその家族が「その人らしく、いきいきとした生活ができること」を目標としています。このような生活を維持するには、医療や介護など専門機関が関わるだけでなく、地域住民による支え合いが不可欠です。

 共和会では、リハの質の向上や医療介護連携、病院や地域との連携に加えて、地域づくりの活動にも力を入れています。

 5年前から地域包括ケア推進本部を設けて、①介護予防支援運動②自助・互助活動の育成・支援③自治会との交流や地域ネットワーク構築の3分野に職員が専門技術を生かしたボランティア(プロボノ)として有償で参加しています。具体的には、北九州介護予防支援センターとしての活動のほか、認知症カフェや認知症サポーター養成活動、小学生の車いす・高齢者疑似体験、自助グループ支援、出前講座などです。

 地域で支え合う力が失われている現状はありますが、病院として活動を続けることで、地域が抱える問題を理解し、信頼関係を築き、共に解決策を検討する機会も得られます。

―リハビリテーション病院に求められる役割とは。

 「その人らしく、いきいきと暮らす」ためには、実際にどんな状態で地域で暮らすのかを患者さんの視点で具体的に考える必要があります。身体機能や動作能力の再獲得だけでなく、安全な環境があり、その人の潜在・残存能力が生かされていて、社会とのつながりや生きがいがあり、地域の人に見守られている安心感がある状態です。専門職として、個々の暮らしや生き方を反映したリハサービスを目指す必要があります。

 例えば、退所前の訪問では住宅改修やADL(日常生活動作)介助の確認だけでなく、その人の職業や暮らし、価値観について知り、退院後にどんなことをしたいのか、どう生活するのかを知るべきです。外来・通所・訪問リハなどでも本人がやりたいことができ、社会参加を促すような視点が必要です。また、退院前に家族や友人と在宅チームが顔合わせする、隣人に挨拶するなど、情報共有や人間関係の再構築を行い、支援に関わる人を増やすように努めています。

―超高齢社会を支える人材をどう育成するか。

 従来は専門職・管理職としてのスキルアップ研修や法定研修を行ってきましたが、2013年から社会人としてのあり方を考える自主参加のゼミを四つ開設しました。これらのゼミやプロボノ活動を通して、求められるセラピスト像は3段階で構成されると考えています。土台は人間性や人としてのあり方、その上が思いや考え方、姿勢であるリハマインド、最後に職業スキルです。技術偏重では土台となる人間性やマインドが育たず、生活イメージやニーズをつかめないことになります。

 当院のようにリハや介護に関わる組織は、地域の現状や、障害を有して暮らすことの困難さを理解する必要があります。プロボノ活動は人材育成を意図してのものではありませんでしたが、職員からは専門職としての視点や知見などが磨かれ、日常業務に役立っているという感想が寄せられています。このようなフィールドワークを繰り返すことは地域や住民を知る一助となり、一方向の社会貢献にとどまらず、双方向でプラスに作用する可能性があると考えています。


医療法人共和会 小倉リハビリテーション病院
福岡県北九州市小倉北区篠崎1─5─1
☎093─581─0668(代表)
http://www.kyouwakai.net/

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