九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

地域から世界へ 教育、研究の変革図る

地域から世界へ 教育、研究の変革図る


学部長(やまおか・よしお)

1990年京都府立医科大学卒業。大津市民病院などを経て、2019年から現職。
2009年から大分大学医学部環境・予防医学講座教授、
2010年から米ベイラー医科大学消化器内科教授(いずれも現職)。

 「地域に根差し、世界を目指す」をモットーに、変革を進めている大分大学医学部。海外での研究、指導経験が豊富な山岡𠮷生氏が学部長に就任してから約2年。英語教育の充実など新たなプロジェクトが続々と進行中だ。


―教育システムの改革に取り組んでいます。狙いは。

 地方大学として、地域医療を充実させることが求められています。同時に、地域に根差しながら世界を目指すことも重要で、立地的に近いアジアを中心に世界に目を向け、国際的な視野を養いたいと考えています。

 私は1997年に米国のベイラー医科大学に留学し、ピロリ菌の研究室に入りました。その後、准教授、教授となり、大分大学の医学部長になった今も、ベイラー医科大学での教授職を継続して担っています。私自身の海外での経験も踏まえて改革を進めており、1~2年生で医学英語を教えて、私が担当する公衆衛生学でも英語を取り入れた授業をしています。

 研究マインドを向上させることも課題の一つです。学部の4年生は3カ月間、完全に授業を行わず、全員に研究室に所属してもらいます。狙いは、興味のある研究に従事してもらうことで、リサーチマインドを養うこと。新型コロナウイルス感染症の影響で中断していますが、共同研究をしている海外の大学に短期滞在して経験を積む学生もいます。5~6年生のうちに大学院の授業を受けて単位が取得できるようにするプログラムも展開していて、初年度の20年には5人がこのプログラムを利用しました。

―学部の運営面での特長や今後の計画は。

 これまでは各講座に均等に割り当てていた運営交付金は、業績に応じてインセンティブを付ける配分方法に変えました。科学研究費の取得額などによって割り当てていて、教授会で各講座が科研費をどれだけ取得しているかについても公表するようにしました。

 当学部の研究者が他の組織と雇用契約を結ぶ制度も始動させました。産学連携を促進するためで、現在は消化器外科の先生が民間企業でも働いています。海外の大学と提携してそれぞれの学位を授与する「ダブルディグリー」の制度も開始させたいと考えています。既にインドネシアのアイルランガ大学との間で最終の調整中で、オンラインの授業でも単位取得を可能とする方向で進めています。まずは、私の環境・予防医学講座、さらに産婦人科で始めたいと考えています。

 今後、複数の施設の着工、完成が控えています。6月ごろには、外科系の研究の強化を目的として4講座が共同利用する研究センターが着工予定です。2021年度中には「グローカル感染症センター」が竣工します。当大学の強みであるピロリ菌や狂犬病分野のほか、新型コロナの研究もします。将来的にはマラリアなどの分野で実績のある長崎大学熱帯医学研究所などと連携して、九州の感染症研究のネットワークを構築したいと考えています。


―新学科の開設と、今後の展望について。

 10年ほど前、学科としてニーズの高い領域を大分県内で調査し、一番要望が多かったのが福祉分野だったため、16年4月に「福祉健康科学部」を開設しました。臨床工学やデータサイエンス分野もニーズが高く、23年度に医学部内に「先端医療科学科」(仮称)を立ち上げ、生命健康科学、臨床工学、医療マネジメントの3コースを開設します。

 医師不足解消のため、21年度の入試(一般選抜)から10人分の地元出身者枠を新設しました。これは地域医療への高い期待に応えるためで、これからも地域の声に耳を傾け、先端医療や国際共同研究を実践する人材育成に力を注ぎます。そして、グローバルとローカルを組み合わせた「グローカル」を合言葉に、国際社会への寄与を目指します。

大分大学医学部
大分県由布市挾間町医大ケ丘1―1
☎097―549―4411(代表)
http://www.med.oita-u.ac.jp/

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