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国内からアジアまで救急・災害の現場に出動

国内からアジアまで救急・災害の現場に出動


教授(さかもと・ゆういちろう)

1993年佐賀大学医学部卒業。同附属病院一般・消化器外科、
日本医科大学千葉北総病院救命救急センター病院講師などを経て、2010年から現職。

 佐賀県における救急医療の「最後の砦(とりで)」として、数々の先進的な取り組みを続けてきた佐賀大学医学部救急医学講座および高度救命救急センター。そのトップを務める阪本雄一郎氏は、ドクターカーやドクターヘリによる病院前診療や、国内外の災害救援活動に力を入れている。

―救命救急センターの概要について教えてください。

 当院での救急診療は、1976年の佐賀医科大学開設とともに準備され、1985年に救急部が発足。1996年に、救急医学講座が開講されました。その後、2005年に救命救急センターの指定を受け、2017年には高度救命救急センターとして認可され、現在に至ります。

 主な診療活動としては、救急車で搬送されてくる患者さんの初期診療、救命救急センターの病棟における重症患者の管理・集中治療、ドクターカー・ドクターヘリでの病院前診療を3本柱に据え、現在は14人の医師で対応しています。

―ドクターカーとドクターヘリの運用について。

 2011年4月、ワークステーション方式によるドクターカーの運用を開始しました。平日の午前9時から午後5時までの間、佐賀広域消防局の救急隊の方に、救急車とともに大学病院の敷地内で待機していただき、要請があった場合は医師と看護師が一緒に現場へ向かいます。この体制が構築されたことで、患者さんに対してより迅速に対応できるようになり、救急隊の方々とのコミュニケーションが強化されたことも、救急医療の向上につながっています。

 ドクターヘリは、2014年1月に運航を開始しました。当院は佐賀県の基地病院として、佐賀県医療センター好生館と連携しながらドクターヘリの運用に当たっています。現在、年間で400~500件ほどの出動回数があります。

―災害時の医療活動にも力を入れていますね。

 災害が発生した場合はDMAT(災害派遣医療チーム)として活動し、各地で発生した地震や豪雨などの災害現場に派遣してきました。また、2017年からは佐賀市に拠点を持つNPO法人「A―PADジャパン」と協力し、「ARROWS〝空飛ぶ捜索医療団〟」として、専用の飛行機を使った災害支援にも取り組んでいます。その範囲は国内に限らず、インドネシアの地震災害でも活動しました。今後もアジア太平洋地域を中心に、国外での災害支援にも注力したいと考えています。

―救急医の魅力と、後進の育成について。

 救急医療は時間との勝負であり、いわば〝地場産業〟です。例えば、高度な治療が必要だと判断した場合、時間的に余裕があれば他県の医療施設にお願いできます。しかし、救急は一刻を争うため、その場にいる医師がすぐに対応しなければいけません。東京やニューヨークにスーパーマンのような医師がいても、佐賀県内の事案に関しては頼れないのです。これは大きな使命であり、同時に魅力でもありますね。

 そして、多職種との連携も魅力の一つです。ドクターカーやドクターヘリの運用では、消防や行政機関との連携が不可欠ですし、地域の医療施設や医師会などとのコミュニケーションも重要です。地域の人々と接しながら、より良い救急医療体制を構築することは、救急医ならではの面白さだと思います。

 医局の若いメンバーにはこのような魅力、やりがいを伝えつつ、個々ができる範囲の実技やさまざまな連携の機会を早い段階から経験させて、救急医としての成長を促しています。教育面での今後の目標としては、県内にある救命救急センターとの連携を深めたい。そこで新たな教育プログラムなどをつくることで、救急医の人材育成に取り組みたいですね。

佐賀大学医学部 救急医学講座
佐賀市鍋島5―1ー1
☎0952─31─6511(代表)
http://suhtar.med.saga-u.ac.jp/

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