医療法人紘友会 福山友愛病院
末丸 秀二 理事長・院長(すえまる・しゅうじ)
1994年金沢医科大学医学部卒業、2000年岡山大学大学院医学研究科博士課程修了。
岡山大学医学部附属病院精神科・神経科、三豊市立永康病院心療内科医長などを経て、
2018年から現職。
広島県南東部に位置し、県内第2の人口を擁する福山市。市内で唯一の精神科救急医療施設である医療法人紘友会福山友愛病院に末丸秀二理事長・院長が院長として着任してから3年余りが経過した。
―取り組んできたこと、感じている病院の特徴を。
当院はもともと精神科の病院ですが、私が赴任して、まず取り組んだのが、心療内科の開設でした。
提供する医療の内容を変えることが狙いではありません。精神科を受診することに対して、「ハードルが高い」と感じる患者さんやご家族を、医療機関につなぎやすくしたいと考えたのです。前任の三豊市立永康病院で心療内科医長をしていた経験もあったことから、開設を決めました。
その後、心療内科があったから気軽に受診できたという声や、診断書を「心療内科」から出してほしいという要望をいただくなど、一定の効果を実感しています。
病院の特徴の一つは「救急」。経営上の生命線でもあります。当院は、1987年、200床で開院し、現在347床。20年以上にわたり、広島県東部地区の精神科救急医療施設、応急入院指定病院、医療観察法指定通院医療機関の役割を担ってきました。
今は、三原市にある小泉病院、三原病院と、福山市にある当院の3病院で救急当番を1カ月交代で担当しており、年に4回、当番が回ってきます。それ以外の時期であっても、24時間365日応需の看板を掲げており、病床稼働率は、常時90%超えています。
複数の精神科疾患を合併していたり、認知症の周辺症状が出ていたりと、精神科の患者さんはこの地域でも増えている印象です。対応するだけの十分な医師の確保がなかなか難しい中、ほぼ無休での救急対応を可能にしているのが、経験豊富なスタッフたちの存在。着任当初、重症の患者さんであっても、適切に対処する看護師らスタッフの姿に、驚き、感心したのを今でも覚えています。
―デイケア、付帯施設もお持ちですね。
外来の患者さんを対象に、1999年に小規模デイケアを開始。多くの要望をいただき、その後、大規模へと移行しました。2003年には精神科デイ・ナイトケアも始めています。
付帯施設としては、2005年に、社会復帰を目的とした精神保健センター「友愛」を開設。4階建てのセンター内に、精神障害者宿泊型自立訓練施設、精神障害者グループホーム、精神障害者福祉ホーム、居宅介護支援事業所、地域生活交流センターなどが入っています。
国の方針で、患者さんの地域移行が進みました。難治の統合失調症の患者さんや発達遅滞を遠因とした依存症やパーソナリティー障害の患者さんは、特に継続的に診ていく必要があります。入院医療だけでなく退院した方を支える医療にも引き続き注力していく必要があると感じています。
―今後については。
私自身が、やりがいを感じるのは、やはり「地域の方々に必要とされている」と感じる瞬間。病院としても、地域密着で市民の皆さん、近隣の地域の皆さんが、頼って、利用してくださる病院であり続けたいと思っています。
そのために力を入れているのが、組織づくり。少し乱暴な言い方をすると、この病院を、「私がいなくても大丈夫」だと胸を張って言える組織にしていきたいと考えてきました。
私は、トップダウンのタイプではありません。周りを信頼して、教えてもらって、患者さんをよくみている現場の管理者の意見を聞いて、病院を運営していく。今後も大事にしていきたいと思います。
そして、創設以来の病院の方針である「困っている人がそこにいるから。なんどきも断らないトータル的な医療の提供」を引き続き目指していくつもりです。

医療法人紘友会 福山友愛病院
広島県福山市水呑町7302―2
☎084―956―2288
http://yuai-hospital.or.jp/