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和歌山県立医科大学 腎臓内科学講座 的確診断、透析回避でQOL向上目指す

和歌山県立医科大学 腎臓内科学講座 的確診断、透析回避でQOL向上目指す

教授(しげまつ・たかし)
1981年久留米大学医学部卒業。
東京慈恵会医科大学内科学講座助教授、
和歌山県立医科大学腎臓内科・血液浄化センター教授などを経て、2012年から現職。

 和歌山県立医科大学腎臓内科学講座は、透析治療を軸とする組織に端を発し、2012年に講座へと改編された。外科的治療なども担う総合診療系の腎臓内科を掲げる講座の強みや展望を、重松隆教授に聞いた。

―講座の特徴は。

 透析治療を中心とする腎臓内科でありつつ、それに関わる外科的な手技も多く担っている点が、大きな特徴です。具体的には、シャントの造設やカテーテル挿入などの、いわゆるブラッドアクセス。大学の腎臓内科学講座では心臓血管外科系に「外注」することが一般的だと思いますが、私たちは定期の手術枠を持って自ら手がけています。

 この体制は、講座の成り立ちが影響しています。初代教授の故・阿部富弥氏は外科系の泌尿器科医。腎臓移植のための患者ケアが専門でした。ただ、国内では移植の症例数が少なかったため透析を軸にした「血液浄化センター」としてシャント造設などもしていました。

 講座は、日本透析医学会の理事長も務めた2代目教授の秋澤忠男氏の下で、さらに発展。私が3代目教授として着任した当時は「腎臓内科・血液浄化センター」との名称で、外科医局の中の位置付けでした。12年に今の「腎臓内科学講座」と改編された後も、「手術もやる内科」としての方針を保っています。

 附属病院の高度救命救急センターでの対応に当たっているのも特徴の一つ。急性の腎機能低下や腎不全の救急患者に対する血液浄化の措置を担います。

―力を入れている点は。

 患者の「透析回避」です。腎機能に問題を抱えた患者が透析治療を必要とする状態に進んでいかないよう、早めに的確な対応を取ります。基本的なことですが、最も大切な点です。

 透析回避を図るには何より、的確な診断が必要です。そのため、積極的に腎生検を実施。腎機能の問題の要因が糖尿病なのか、免疫異常はあるのかなどを早期に見極めます。そして、血圧コントロールやホルモン療法などで対応が可能であれば、それらの治療を試みます。完治が難しい場合でも、透析を始める時期を遅らせることができます。

 透析治療は患者にとって長い付き合いとなり、シャントのトラブルなども起こり得ます。一つの診療科で診ることできめ細かく包括的な治療ができ、患者の安心、生活の質(QOL)の向上につながると考えます。

―講座の今後の展望は。

 腎生検は年間100件を超えるほどに増え、「透析の回避、遅延」は軌道に乗ってきました。それと並行するように患者が透析を始める年齢は上がってきています。さまざまな症状を併せ持つ患者が多く、そうした方々への内科的治療をより充実させたいと思います。

 特に力を入れなければならないのは、心不全です。心機能は落ちていないのに心不全となる患者が、特に女性やお年寄りに多いからです。体内の塩分や水分を腎臓がうまく排せつできなくなり、心不全を引き起こしているのです。高血圧も多い症状ですが、これも腎機能の低下が要因です。

 そして、がんに関わる診療もニーズが高まっています。腎臓内科はがん自体を治療する機会はない診療科ですが、多くのがん患者を診ています。これはがんの痛み止めや、がん診断のための造影剤、抗がん剤がどれも腎機能低下を引き起こすリスクがあるためで、腎臓のケアが大変重要です。

 こうした診療状況に対応できる総合診療系の腎臓内科としてのレベルを、さらに高めていきたい。支えてくれるのは若い人材です。専門を一つ持った上で、トータルに診られる腎臓内科医を研究と診療を相互にフィードバックさせながら育成していきます。

 決して規模の大きい講座ではありませんが、外科的治療、救急対応も引き続き担いながら、和歌山県の腎臓内科医療に貢献していきます。


和歌山市紀三井寺811―1 ☎073―447―2300(代表)
http://www.wakayama-med.ac.jp/med/nephrology/

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