九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

和歌山県立医科大学 外科学第一講座 最先端の医療で地域完結型医療を目指す

和歌山県立医科大学 外科学第一講座 最先端の医療で地域完結型医療を目指す

西村 好晴 教授(にしむら・よしはる)
1987年和歌山県立医科大学医学部卒業。
同大学高度集中治療センター、岸和田徳洲会病院心臓血管外科、
和歌山県立医科大学外科学第一講座講師などを経て、2016年から現職。

 和歌山県立医科大学の中で、伝統ある講座の一つである外科学第一講座。県内でのニーズが高い心臓血管外科、そして呼吸器、乳腺外科と三つのグループの現状と今後の運営方針を西村好晴教授に聞いた。

―講座の特徴を。

 外科教室は、終戦年の1945年に創設。その後2講座制となり、第一外科は脳神経科、麻酔科、胸部外科に分科。大学機構改革により1995年、胸部外科は心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科の3グループからなる外科学第一講座に再編され、現在に至っています。

 心臓血管外科グループは、心筋に供給される酸素が不足して痛みや圧迫を感じる狭心症、心臓弁が正常に機能しなくなる弁膜症、動脈硬化や高血圧などにより血管が膨れる大動脈瘤(りゅう)のほか、先天性心疾患の小児心臓手術まで全領域をカバーしています。

 呼吸器グループでは、肺や気管などの疾患に対する手術を行っています。特に早期肺がんに対する低侵襲治療に力を入れており、その代表である胸腔鏡手術は、胸の傷がより小さくてすむ完全鏡視下手術を行っています。また、2019年から手術支援ロボット「ダビンチ 」を採用し、患者さんの体力的な負担をさらに軽減しています。

 乳腺外科グループは、マンモグラフィーなど各種検査の実施、乳がん治療にも取り組んできました。、ホルモン剤、放射線を組み合わせた集学的治療をはじめ、がん細胞をピンポイントで狙い撃ちする分子標的治療も取り入れ、女性の喪失感を最小限に抑える乳房再建手術にも力を入れています。

―自身の研究分野は。

 後天性心疾患を専門領域とし、特に大動脈疾患の治療に取り組んできました。代表的な疾患として胸部大動脈瘤、急性大動脈解離があります。2002年から現在まで約900例の手術を実施。胸部大動脈瘤の中で、特に難易度の高い手術と言われる弓部大動脈瘤においても、良好な手術成績を重ねています。

 弓部大動脈は、心臓から出た血管から頸部や上肢へ向かう3本の血管が枝分かれする部分で、ここがコブのように膨れるのが弓部大動脈瘤です。

 手術は動脈瘤を切除して人工血管を縫合する弓部全置換術を行っています。重要なポイントは、血管内に蓄積したドロ状の物質が、脳の血管に流れて脳梗塞が発症する危険性です。そこで、肩口から腋(わき)の下にかけて流れる動脈から血を送る両側腋窩(えきか)動脈送血法による弓部全置換術を採用し、脳梗塞のリスクを低減しています。

 また、大動脈の内壁に亀裂が入り、血液が流れ込んで血管壁を2層に分離する急性大動脈解離に対しては、人工血管の内腔に、金網を縫い合わせたステントグラフトを併用した弓部全置換術を実施。救命率の向上と、遠隔期再発の防止に努めています。

―今後の講座のあり方は。

 紀の国と呼ばれる和歌山県は、別名〝木の国〟とも呼ばれるほど山が多い地域です。大阪と接する北部以外の県民は、山に囲まれて生活しています。このため県民は外に頼らない〝独立独歩〟の気概がアイデンティティーなっています。

 医療においても、日本で行われる治療はすべてエリア内で受診できる「地域完結型医療」を望んでいます。こうした県民の願いに応えていくことが、私たちの変わらないテーマです。その実現のためにも、今後、従来にも増して人材育成に力を注いでいきます。

 中でも女性の能力活用が重要だと考えています。すでに医学生の半数は女性。結婚や子育てで職場を離れても、復帰しやすい環境を整えることが大切です。彼女たちが長期にわたって能力が発揮できるようにすることが、私の果たすべき役割の一つだと考えています。

和歌山県立医科大学 外科学第一講座
和歌山市紀三井寺811―1 ☎️073ー447ー2300
http://surgery1-wakayama-med-u.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる