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命をいただき地域医療に尽くす

命をいただき地域医療に尽くす


院長(うえやま・さとし)

1985年高知医科大学医学部(現:高知大学医学部)卒業。
岡山大学医学部第一外科、愛宕病院、三原赤十字病院外科部長、同副院長などを経て、
2020年から現職。

 広島県東部にある三原市の地域医療を支える三原赤十字病院。2020年に就任した上山聰院長は、心臓の大病を乗り越えた後、あらためて医師としてのあり方、地域や患者、病院への貢献を誓う。

大手術を乗り越え新しい境地に

 2017年。三原赤十字病院の外科部長を務めていた時、心臓の大手術を受けた。病名は不安定狭心症。バイパス手術をするとともに、心房内に発見された腫瘍も切除した。「かなり差し迫った状況でした。助かった時には、医師に対して『命をいただいた』という気持ちになりました」

 その経験が、医師としてのあり方について再考するきっかけとなる。「いざ自分が手術を受けるとなると、人間とは何と弱い存在であるのかと、不安がこみ上げてきました。そんな時に医師や看護師が見せてくれる笑顔やちょっとした一言で、安心することができる。以前から自らも実践しようと心掛けていたことですが、その大切さをあらためて感じました」

 手術に対する考え方も大きく変わっていく。「新しい手術手技の開発はもちろん重要ですが、患者さんの願いは『安全に助けてほしい』ということ。誰のための手術かと考えた時に、できる限りシンプル・イズ・ベストでありたいと思うようになりました」

一生の師との出会い

 兵庫県出身。高知医科大学(現:高知大学医学部)卒業後の1985年、「地元に比較的近かったから」という理由で岡山大学医学部第一外科に入局。すぐに三原赤十字病院に赴任する。

 「尊敬している先生方が多く在籍されていたこと。そして、地域に密着した医療を展開しているため、ニーズに応じた幅広い症例に取り組んでいる病院であったことが、自らの医師としての目標に合致しました」

 その後、川鉄水島病院(現:倉敷中央病院リバーサイド)外科部長などを経て、1996年に再び三原赤十字病院へ戻る。

 そこで大きな出会いがあった。当時の副院長であり、その後、院長を務めた上川康明医師だ。食道がんを中心に、胃、直腸、結腸、さらには肺の手術を数多く手掛けてきた外科医。「上川法」とも呼ばれる噴門側胃切除後の逆流防止機能を備えた食道胃吻合(ふんごう)法(観音開き法)を考案するなど先駆的な側面も兼備している。

 「とても追い付けないような特別な方です。その先生がこの病院にいてくださり、直接教えをいただいたのは一生の宝です」

地域のため 患者のため 病院のために尽くす

 その背中を追いながら、さまざまな疾患の治療に当たってきた。「専門は胃、大腸、肛門ですが、一つの分野を極めるより、必要とされる消化器外科医を目指してきました」

 院長に就任した現在は、次々に押し寄せる運営課題と格闘する。中でも内科と整形外科の医師確保が喫緊の課題。「これが私の仕事」と危機感を募らせる。

 また、三原地区の少子高齢化に伴い、2020年4月に地域包括ケア病床をほぼ倍の91に増やすと同時に、急性期病床を削減した。地域密着型の病院として、在宅医療との両輪を推進していきたいという。

 大病を患ったものの、今後も病院の最前線に立ち続ける。「新型コロナウイルスの感染が広がる中、職員が献身的に患者さんの検査を実施している姿を見て、あらためてこの病院は地域になくてはならない存在であることを確信しました。地域のため、患者さんのため、そして病院のために、残りの医師人生を最後の仕事と定め、『診察室で倒れて死んでもいい』という気概で職員を引っ張っていきたいと思います」

三原赤十字病院
広島県三原市東町2ー7ー1 ☎0848ー64ー8111(代表)
http://mihara.jrc.or.jp/

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