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周産期医療を中心に母子を支える基幹病院に

周産期医療を中心に母子を支える基幹病院に


総長(くらち・ひろひさ)

1976年大阪大学医学部卒業。米国立衛生研究所、山形大学医学部産科婦人科教室教授、
大阪府立母子保健総合医療センター(現:大阪母子医療センター)病院長などを経て、
2016年から現職。

 南大阪地域の周産期医療の質向上のために開設された「大阪母子医療センター」。およそ40年の間に小児医療部門、そして研究所機能などを追加し、時代の医療ニーズに即しながらその役割を果たしてきた。少子化が進行する中、今、求められる新たな役割とは。

―1981年に開設。その主な活動は。

 南大阪地域の周産期医療の質を上げるということが開設の一番の狙いでした。

 産科、新生児科、母性内科など12診療科、70床でスタート。母性内科は、糖尿病など合併症がある妊婦の方に対応する診療科です。1984年には周産期部門をフルオープン。1991年には小児医療部門の外来・入院診療を開始し、研究所も開設しました。

 当センターでは一貫してハイリスクな妊産婦、胎児・新生児、そして希少難治性小児疾患を担当してきました。研究所は「病因病態」「分子遺伝病」「免疫」「骨発育疾患」の四つの部門があります。小児病院で研究施設があるのは国立成育医療研究センターと当センターだけではないでしょうか。予防、診断、治療において最先端の高度な医療を提供するためにも、研究所機能が必要だと考えたのです。

 2018年11月、大阪府から小児救命救急センターの指定を受けることができました。3次救急を中心に数多くの救急車を受け入れています。地域医療を担う一員として、救急はもちろん、地域の先生方からの依頼も含め、断らない病院であり続けたいと考えています。

 また、地域の医療機関との連携を図りながら在宅医療を推進しようと、2018年3月、ICTを活用した「南大阪MOCOネット」がスタート。連携する医療機関などに当院のカルテを開示しています。

 特徴的なのは薬局や保健所ともつながっていること。当センターの重要テーマの一つである虐待防止、災害時や移行医療での活用を見込んでいます。

―2019年の国内の出生数は、90万人を下回りそうです。

 大阪府の分娩数も減少傾向が著しく、今年は6万5千人程度になりそうです。

 全国的な傾向としては、分娩を扱う施設が年々減少していますので、地域の周産期センターなどに分娩が集中しているようです。

 当センターが扱う分娩数は2019年、1600件〜1700件程度を見込んでいます。分娩数自体は今のところ減少してはいません。ただ、当院がある南大阪は分娩施設が非常に多い地域です。今後は分娩数を維持するための方策が必要かもしれません。

 今は看護部を中心に、ショッピングセンターなど地域に出向いて、子育て相談や、性教育などをテーマに情報を発信しています。当センターでの分娩についても併せて説明しています。

―周産期医療の課題は何でしょうか。

  国内では、少子化や労働環境の厳しさを考慮するためか、周産期医療を支える産科医や小児科医を目指す若手の医師が不足しています。

 分娩は常にリスクが伴うものです。欧米の場合、取り扱う症例数が年間1千例、場合によっては万単位という施設もあります。多くの症例を重ねることで、妊産婦さんと子どもの安全を守る医師を育てることができるのだと思います。

 大阪府の面積は狭く、都道府県の中で下から2番目。その狭いエリアの中の南大阪には、約40もの分娩施設があります。

 限られたマンパワーを生かし、かつ産科医や助産師の教育の場を維持するためには、分娩施設や周産期医療を担う施設の集約化を、真剣に考える時期にきているのではないでしょうか。地域医療構想と合わせて、検討すべき重要な課題だと考えています。

地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪母子医療センター
大阪府和泉市室堂町840
☎0725―56―1220(代表)
https://www.wch.opho.jp/

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