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各部門のがん治療を集結 包括的「がんセンター」開設

各部門のがん治療を集結  包括的「がんセンター」開設

日本赤十字社和歌山医療センター
院長(ひらおか・まさひろ)

1977年京都大学医学部卒業。
同大学院医学研究科腫瘍放射線科学教授、同大学医学部附属病院がんセンター長などを経て、
2016年から現職。

 和歌山市の中核病院である日本赤十字社和歌山医療センターは2021年1月、高度ながん治療の機能を集結させた「がんセンター」を開設する。平岡眞寛院長にその概要と展望を聞いた。

―がんセンターの概要は。

 がんを診療する各部門を機能的にも物理的にも集結させ、患者さんが一元的に受診できる体制にします。「診療」と「患者支援」の2部門を集結。検診から診断、治療、、患者の総合支援までの各領域のチームで、横断的に対応します。

 具体的には、「がん検診」「画像診断」「高精度放射線」「がん周術期」など10余りの機能をセンター化し、多職種によるチーム医療を促進させます。遺伝子検査に基づく個別治療を提供する「がんゲノム医療」や、がん患者さんの救急搬送に対応する「がん救急」、当院のがん治療に関するデータをまとめて発信する「がん情報センター」なども設けます。それぞれが高いレベルの機能を持ち、いかなる場合にも対応できる包括的ながんセンターとなります。

 2011年に竣工した本館の2階にほぼすべての機能を集結させ、医療者の動線も含めて、コンパクトで効率的な態勢を実現します。

―特徴について。

 ユニット診療です。主に臓器別に乳がん、肺がん、大腸がん、小児がんなど14のユニットを設置。それぞれのユニットで、内科や外科、、画像診断、薬物療法などの専門家が、診療科の垣根を越えて連携しながら診療に当たります。

 ユニットに紹介された一人の患者さんについて、さまざまな分野の専門医が議論し、患者本人の希望も踏まえて治療方針を決めます。臓器別ユニットが縦糸に、先ほど述べたセンターが横糸になり、患者さんの情報をカルテ上でも共有。段階に応じた最適な治療を提供します。ユニットを横断して携わる医療者もいます。

 ユニットと併せて、消化器センター、呼吸器センター、ブレストセンターの3センターを設置。良性疾患はそのセンターで診ることで役割分担をはっきりとさせ、迅速で効率的ながん診療を実現します。

 こうしたユニット診療は、私が初代のセンター長を務めていた京都大学医学部附属病院のがんセンターで編み出した方法を参考にしています。ユニット診療は、すべての職種がしっかりとした医療の質を担保していなければ成り立ちません。多様な診療科で多様な症例を網羅的に手掛けてきた総合病院である当院だからこそできると思っています。

―設立の背景と今後は。

 これまでは「がんになったら専門病院に行き、高度な医療を受ける」ことが一般的な共通認識でした。

 しかし、高齢化が進み、高齢のがん患者さんが増えています。心臓が弱い、糖尿病がある、腎機能が悪いといった疾患を抱えていることも多い。内科系の診療体制も整っている急性期病院での、がん診療の役割が大きくなってきています。

 もう一つの背景に、がん治療期間の短縮化があります。今は手術をしても1週間ほどで退院し、「あとは他の病院でリハビリしてください」というケースが大半。薬物療法も放射線治療も通院ででき、がん医療がどんどん外来に移っています。

 そのため在宅患者さんの体調不良への対応が増えています。実際、当院でも夜間の救急でがん患者が増加。あらゆる種類のがんについて治療の初めから最後まで、いつでも頼れる医療機関のニーズは高まっています。

 当院は高度救命救急センターの指定を受けており、救急はすべて受ける方針を掲げています。がん診療においては、2018年に緩和ケア病棟を新設し、2019年には地域がん診療連携拠点病院「高度型」にも選ばれました。これらの高い総合力で、患者さんやご家族の気持ちに寄り添うがんセンターを目指します。

日本赤十字社和歌山医療センター
和歌山市小松原通4―20
☎073―422―4171(代表)
https://www.wakayama-med.jrc.or.jp/

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