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各科連携による早期介入で機能保全を

各科連携による早期介入で機能保全を

広島大学病院 腎臓内科 正木 崇生 教授(まさき・たかお)
1992年広島大学医学部卒業、1999年同大学院修了。
豪モナーシュメディカルセンター留学、呉共済病院などを経て、2011年から現職。

 腎臓内科の専門医が集結し、県内でトップクラスの外来患者数、入院患者数を誇る広島大学病院腎臓内科。研究と臨床の両面で、腎臓内科分野をけん引する正木崇生教授に、治療への取り組み方や最近の研究テーマ、他科との連携などについて話を聞いた。

―患者の傾向は。

 一番多いのは、少しずつ進行する慢性腎臓病の中でも、病状が進行した、いわゆる保存期腎不全の患者です。年間100~150人程度、腎生検を行っています。

 急激に症状が進む顕微鏡的多発血管炎なども、年間10例程度あります。患者さんは10代から中高年、高齢者に至るまで、年代も幅広く診ています。

 患者さんは市内を中心に、呉市や東広島市のほか、腎臓専門医が少ない山口や山陰から来る方もいます。

 専門医がいない地域に対して課題が残っていましたが、近年は医局から専門医が派遣されたのを機に、県内の他の地域からの患者数は徐々に減り始めました。

―基礎研究について教えてください。

 三つの柱があります。幹細胞による治療の臨床応用に関する研究。DNA内のヒストンと呼ばれる部位に、後天的変化をもたらすエピジェネティクス制御の研究。そして、腎機能に対する塩のチャネルがもたらす腎臓生理学的な研究になります。

 治療という意味では、幹細胞による治療研究が欠かせないでしょう。腎臓の病気の進展を理解する上では、エピジェネティクス制御が関わります。日常の腎臓の病態を理解する上では、塩のチャネルがもたらす生理学的研究の視点が必要になってきます。それぞれの研究を積み重ね、さらなる治療につなげていくことが目標です。

―治療にあたって大切にしていることは。

 腎臓内科は、腎炎の治療から透析まで、すべてに関わっています。

 特に紹介が多い保存期の腎不全においては、厳格な血圧のコントロールを重視しています。腎臓が悪くなると、十分に血圧の降圧ができていないケースが多く、そのまま放置すると、腎機能の悪化を早めてしまうことにもなりかねません。大学病院で治療して、安定したらまた地元に帰って治療を継続するという、病診連携も強めています。

 また治療方法については、SDM(協働的意思決定)に基づいて、選択していただきます。これは、患者さんと医療サイドが話し合い、腹膜透析、血液透析、移植のうち、その患者さんに対してどの治療法が最適なのか、患者さん自身に選択していただくというものです。

 腎臓の病気は、治療期間が長くなるため、患者さんの生活や病態に合わせた治療法を選ぶことが大切です。最近では、診療報酬改定や在宅医療の推進などもあり、通院回数が少なくて済む、腹膜透析を選択される方が増えている傾向が見られます。

―他科との連携について。

 さまざまな合併症も多いため、腎臓内科は総合内科的な要素が多く求められます。他科との連携は必須と言えるでしょう。膠原病(こうげんびょう)で腎臓病を合併するケース、糖尿病で透析療法を要するケース、循環器疾患と合併しているケースなどが挙げられます。加えて、移植外科との連携もあります。

 腎臓病治療においては、進行を遅らせることが非常に大切です。早期に発見できれば、透析導入の時期を遅らせ、合併症の予防にもつながります。

 日本腎臓学会では、患者さんを紹介いただく際の基準を設けていますが、その基準に達していない患者さんであっても、腎機能低下のサインを見つけたらすぐに紹介いただいても構いません。疑わしい場合には、ぜひ専門医へつないでいただけたらと思います。

広島大学病院 腎臓内科
広島市南区霞1―2―3
☎082―257―5555(代表)
http://jinzounaika.hiroshima-u.ac.jp/

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