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各分野の専門家を育成 四国の眼科医療に貢献

各分野の専門家を育成 四国の眼科医療に貢献

  教授(しらいし・あつし)
1986年日本医科大学医学部卒業、同第2外科(内分泌外科)学教室入局。
米シンシナティ大学眼科客員講師、愛媛大学眼科学准教授を経て、
2016年より現職。


 「専門分野で知識を深めることで、自信を持って治療に臨むことができる」と語る白石敦教授。自らの経験を基に後進の教育に情熱を傾ける。カダバートレーニングなど新しい教育法にも挑戦。愛媛県、そして四国の眼科医療の質の向上がその原動力だ。

―医局の特徴や教育について聞かせてください。

 県唯一の眼科学講座の役割の一つとして、どんな眼科疾患でも愛媛県内で治療を受けられるようにする体制作りが求められます。これに対応するには幅広い人材の育成が重要ですので、入局後はあらゆる分野の手術や疾患を可能な限り経験できるように関連病院での研修をします。

 大学に戻ってからは基礎研究や臨床研究も大切ですから、専門を深く掘り下げてもらいます。知識の柱をつくっていく時期は、ある分野に特化する方が成長できるのではないでしょうか。また、深い専門知識を得ることによって他の分野のことも理解できる。それで自信がつけば、余裕をもって治療に当たることができるでしょう。

 特に愛媛大学医学部附属病院はほとんどの眼科疾患をカバーできるよう角膜、網膜、眼形成など専門外来を幅広く設けています。患者さんをご紹介いただく際に開業医の先生にとってもわかりやすいというメリットがありますし、医局員も各専門で知識を深め、技術の向上に励んでいます。

 手技の教育では、ご遺体(カダバー)を用いた実習に取り組んでいます。愛媛大学医学部は厚労省からカダバーのトレーニング施設に認定されているため、この実習が可能です。

 白内障などの内眼手術のトレーニングでは入手しやすい豚眼を使用しますが、涙道や眼瞼(けん)手術のトレーニングにはカダバーが非常に有効です。シール法という解剖体固定により、生体に極めて近い物理的性質を維持できる上、出血や腫れも無いため解剖や実習が大変分かりやすいのです。他大学にはない取り組みのため公開実習では全国から受講者が集まります。


―2017年、日本涙道・涙液学会の理事長に就任。

 本学会は2011年に発足。涙道の専門医の育成が目標の一つ。専門医は徐々に増えてきましたが、まだまだ偏りがあり専門医の治療を受けられない地域もあります。

 涙道閉塞症の患者さんは高齢者の3~5%程度いると言われ、これは白内障にも相当する数字です。原因はさまざまですが、抗がん剤の副作用によるものも報告されています。常に涙が出続けてハンカチが手放せない状態は、患者さんのQOLを著しく低下させています。

 専門医がいない地域では治療が進まないケースも少なくないようですが、手術でかなり改善します。治療は涙道内視鏡を用いた涙管チューブ挿入術と涙嚢(のう)鼻腔吻合術(DCR)。DCRには皮膚を切開する方法と、鼻腔から鼻粘膜や骨を切除しバイパスを作る方法があります。

 学会は毎年、日本眼感染症学会、日本眼炎症学会、日本コンタクトレンズ学会とともにフォーサムを開催。今年で第8回となる総会は7月に京都で開催。この8年の間に学会主導の多施設研究も実施され、学術的な研究発表も増えるなど大きな進歩を遂げました


―四国全体での取り組みも盛んですね。

 四国の大学の眼科は非常に良い関係を築いており、毎年共同でセミナーを開いています。全国から専門家を招いて開くこのセミナーでは、さまざまな分野の最前線を知ることができるとあって開業医の先生にも好評です。

 今年で13回目、参加者は年々増加しています。当講座でも、講演会や勉強会を積極的に開催。眼科医療の質を上げるためにも風通し良く地域連携を進めていきます。


愛媛大学大学院医学系研究科眼科学講座
愛媛県東温市志津川
☎089―964―5111(代表)
https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/ophthalmology/

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