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医療法人原三信病院 香椎原病院開院90周年

医療法人原三信病院 香椎原病院開院90周年

「手の暖かさの伝わる病院」 高齢者医療と健康増進

 香椎原病院は2019年8月に開院90年となった。創立当初からの理念「手の暖かさの伝わる病院」を継承して、地域密着の出前講座は年間230件に及ぶ。取り組みと今後の展望を寺田憲司院長に聞いた。

―90年の歴史を紡いできた思いを。

 創立者の原志免太郎は、黒田藩の藩医を代々務めた原三信家第13代の娘婿です。福岡市博多区で開業、2年後に現在地に結核療養所を開設したのが香椎原病院のルーツです。志免太郎は日本初の「お灸(きゅう)博士」として知られ、104歳まで診察を続け「生涯一医者」を貫いた人物です。ホタルの研究家でも有名な学者肌の人で理想家でした。〝本家〟の原三信病院と合併した後も、私たちは創立者の理念「手の暖かさの伝わる病院」を継承しています。

 私が原三信病院から赴任したのが21年前で院長を務めて15年になります。人を幸せにすることを求めて医者を志しました。心療内科や予防医学を研究して、身体と心の健康づくりが私のライフテーマになったのです。

―転換点となったのは。

 当院に赴任した頃から高齢者に対する医療や介護が求められる時代になり、この地域の高齢者のニーズに対応して病院の方向性を変えてきました。

 療養病床(200床)に加えて回復期リハビリテーション病棟(45床)を増設しました。例えば脳梗塞の急性期治療を終えた方が引き続き身体機能回復と社会復帰を目指すためにチームでアプローチするリハビリを強化した病棟です。社会復帰にはリハビリの技術だけでなく、栄養面、薬、在宅支援に向かって家庭環境などを含めてチームで取り組む必要があるからです。

 15年前には、「体力向上支援センター」を院内に開設しました。シニア世代を対象にした会員制フィットネス施設です。医師が診察した後、その人の体力や生活目標に合ったメニューを健康運動指導士が作成して有酸素運動などを指導しています。

 「運動をしたいが場所がない」といったシニアの方々に好評で、毎回40人ほど参加されています。

―出前講座を始めた経緯は。

 病院スタッフから「地域の方々のために何かやりたい」との提案で始めたのが出前講座です。当初は、「病院の宣伝では?」と警戒もされました。今では自立支援、疾病予防のための健康づくり、健康志向の街づくりの支援活動として地域住民の方々に理解していただいています。講座は年間230件、参加者数8000人(2018年度)。半数が公民館や行政、企業などからの要請で、5公民館とタイアップしています。

 講座内容は医療、福祉、健康、運動、栄養など29種類。独り暮らしの高齢者対象の料理教室もあります。楽しみながら健康づくりに参加してもらおうと考案したポイント手帳は好評です。

 採算は度外視して、私たちができることと、どんなニーズがあるかを地域活動連携室が掘り起こして調整しており、最近では新宮町役場の依頼で離島の相島でも開催しました。

―今後の展望は。

 こうした活動は全職員が一丸となった成功例で、病院と職員自体が地域の一員であることを認めてもらう機会になっています。

 病院の運営は院長一人ではできません。職員の思いと私の考えが響き合って回っていくのです。

 高齢者が健康で心豊かな生き方ができるか、一つの地域だけでなく国全体の問題です。こうした取り組みが全国に広がっていくといいなと思います。

医療法人原三信病院 香椎原病院
福岡市東区香椎3―3―1 ☎092―662―1333(代表)
http://www.kashiihara.or.jp/

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