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医療従事者として誇りをもって働ける病院を目指す

医療従事者として誇りをもって働ける病院を目指す

地方独立行政法人
理事長・病院長(しんぽ・ひでと)

1985年三重大学大学院医学研究科博士課程卒業。米ハーバード大学医学部留学、
三重大学医学部附属病院副院長、三重大学副学長などを経て、2018年から現職。
三重大学名誉教授兼任。

 北勢エリアでの地域医療、また救急医療の要である「三重県立総合医療センター」は応需率99%という数字を達成している。そのための取り組みや方針、また病院の強みについて、理事長であり病院長でもある新保秀人氏に聞いた。

―運営について。

 大きな転換期となったのが2012年に地方独立行政法人化したことです。採用の方針も自分たちで立てることができるようになり、看護師の定着率も高くなりました。2018年は43人採用しましたが、1人も辞めていません。若い人が多くなったことで院内に活気が出てきて、とても良い状況にあります。

 給与面の改善や休みのとりやすさなどの待遇改善はなかなか難しいのですが、人件費が少々かかっても、予定の人数より多く採用するようにしました。スタッフが少し余裕をもって働くことができますし、個々のスキルアップなどトレーニングがしやすい。ゆとりある環境で、経験や知識豊かな先輩が、若手を指導することで優れた人材が育つ。それは患者さんにとっても、大変良いことだと思っています。

―病院の特徴は。

 救急医療に関しては、四日市市内にある市立四日市病院、JCHO四日市羽津医療センター、そして当院という三つの病院で分担、協力を実践しています。当院は主に四日市市の南から鈴鹿までをカバーしており、要請があれば断らない姿勢を貫いてきました。毎年1%ぐらいずつ応需率が上がってきており、2019年は99%を超えるまでになっています。

 強みの一つには周産期医療もあります。現代の日本における医療の構造上、出産や小児医療の担い手が少なくなっています。三重県でも北部は人口も多いので産婦人科の医師数は十分と言えるでしょう。しかし、南部は30~40㌔㍍の間に産婦人科の医師が1人というような状況です。当院には周産期医療センターがあり、ハイリスク分娩(ぶんべん)に専門的に取り組んでいます。産科・小児科の一貫体制が整っていますので、夜間などの緊急対応も含め、県全域をカバーしたいと思っています。

―今後の課題は。

 医療の質というのはよく言われていますが、当院では「医療の価値」を上げていきたいと思っています。医療の価値というのは、医療の質を犠牲やコストで割るという考え方です。

 患者さんを救うために最大限の努力は必要ですが、毎日徹夜で働くといった犠牲の上に成り立っていくのではなく、バランスを見極めながら価値を高めていこうというものです。

 新しい試みとしては、2019年9月から土曜日の通常診療でCTを開始しました。お勤めの方が会社を休まずに検査を受けられ、心理的な負担もかなり違うのではないでしょうか。「土曜日にやってくれてうれしい」というお声を多くいただいています。

 同じく5月からは手術支援ロボット「ダビンチ」も導入しました。遠隔操作で人間の手と同じ動きをするので、みかんの皮もむけるし折り鶴も折れます。操作を体験された鈴木英敬三重県知事も「これはすごい」と驚かれていました。術前に倫理面と技術面の両方から審査し、一例ごとに検証しています。

 運営については「あそび」のある効率化を目指していきます。人が人を診るのが病院ですから、効率化の名の下に厳しくなるばかりではよくありません。ハンドルの「あそび」のように、多少の余裕を持った運営を心掛けたいと思います。

 お辞儀をするといった基本的な接遇から徹底し、患者さんに対してだけでなく、スタッフ同士も互いに尊重し合える関係を築くこと。医療従事者としての誇りをもって仕事をしていけるような病院にしていきたいと思っています。

三重県立総合医療センター
三重県四日市市日永5450―132
☎059―345―2321(代表)
https://www.mie-gmc.jp/

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