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医療の質と経営の質、その両立を目指して

医療の質と経営の質、その両立を目指して

坂出市立病院 岡田 節雄 病院事業管理者・病院長(おかだ・せつお)
1985年三重大学医学部卒業。香川医科大学(現:香川大学医学部)第一外科入局。
坂出市立病院診療部長、同病院長などを経て、2019年4月から現職。

 瀬戸内海を臨む坂出市に位置する坂出市立病院は、急性期医療を中心に、島しょ部やへき地への巡回診療にも力を注ぐ。2019年4月、地方公営企業法一部適用から全部適用になったことを受けて、坂出市病院事業管理者も兼務することになった岡田節雄病院長を訪ねた。

―地方公営企業法全部適用へと移行した狙いは。

 当院が地方公営企業法の全部適用にした理由は、人材採用にあります。一部適用だと、採用試験は市役所の職員と同様、前年度に行い、翌年4月に入職という形でした。

 年度途中で欠員が出たらパート採用で補い、正規職員としての採用は次年度の採用時期まで待つのが、市のルールです。例えば採用試験が終わった後に退職者が出ると、次年度の採用試験の時期まで正規の職員を補充することができません。ただ、病院職員の場合、パート勤務などの条件では、なかなか応募してもらえないのです。結果、欠員状態で、患者さんに迷惑をかけることになります。

 今回、全部適用になったことによって、事業管理者が決定すれば迅速に職員が採用できるようになり、患者さんに対して医療の質を継続的に担保できるようになりました。また、必要に応じてスピーディーに新たな部署を設置したり、人員配置を変えたりすることも可能になります。

―一般的に、全部適用のメリットとして、病院の経営改善があると言われています。

 全部適用にして経営責任を明確化することで経営状態が改善すると言われていますが、公立病院の60%以上が赤字経営で、その多くは全部適用ですので、全部適用が公立病院の経営の改善に寄与する確証はないように思います。

 当院は、1991年に経営不振を理由に廃院勧告を受け、そこから病院全体で改革に取り組み黒字化に成功した経験がありますが、その間、ずっと一部適用のままでした。今回の変更は黒字化した上での変更です。

 ただ、必要な人材を確保できているかどうかによって、診療報酬に影響が出ます。そういった意味では、全部適用が公立病院の安定経営に関わると言えると思います。

―貴院が大切にしている指針と今後の方向性は。

 公立病院は、良質な医療と安定経営の両方を求められます。経営だけを考えるのではなくどこに住んでいても必要な医療が受けられるよう、へき地医療や高度医療などへのニーズにも貢献すべきです。

 人口の少ない地域には公立病院が多く分布しています。人口が多ければ複数の病院が役割分担し、機能を強化して医療を担うことができますが、人口の少ない地域ではそれが難しい。そこで公立病院の出番となるわけです。

 当院は、急性期医療や高度医療を中心に行うことを目的に2014年に当地に新築移転しました。島しょ部やへき地への医師・看護師の派遣や訪問診療、投資が必要な医療など、個人の医療機関では経営が成り立ちにくい分野を担っています。

 すべての診療科がそろっているわけではありませんが、坂出市内に住む方の医療を市内で完結することを目標に、香川大学との連携を強化しつつ医師の確保にも引き続き努めていきます。

 現在、透析の患者さんの受け入れ数を増やす計画を進めています。医師を確保し、施設も整備したので、メディカルスタッフがそろい次第、スタートさせる予定です。

 また、日本血液学会認定の血液専門医が2人おり悪性リンパ腫や多発性骨髄腫、白血病といった疾患の治療をしています。消化器と呼吸器は外科、内科とも医師がそろい、連携して診療に当たっています。こうした強みも生かしながら、地域を支える中核病院として、今後も発展し、地域医療に貢献していきたいと思っています。

坂出市立病院
香川県坂出市寿町3─1─2
☎0877-46-5131(代表)
https://www.city.sakaide.lg.jp/site/sakaide-hospital/

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