九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

医療から介護、福祉へ 地域のニーズに応える

医療から介護、福祉へ 地域のニーズに応える

医療法人杏園会. 熱田リハビリテーション病院
伊藤 知敬 理事長・院長(いとう・とものり)
1973年名古屋市立大学医学部卒業。国立名古屋病院
(現:国立病院機構名古屋医療センター)、伊藤病院
(現:熱田リハビリテーション病院)などを経て、1987年から現職。

 熱田リハビリテーション病院の新築移転から1年。医療法人杏園会は、同院でポストアキュート・サブアキュートを担いつつ、介護や福祉の分野へも事業を拡大している。概要と展望を、伊藤知敬理事長・院長に聞いた。


―新たな熱田リハビリテーション病院の特徴は。

 新病院は、居心地が良い「病院らしくない病院」が目標。介護老人保健施設や通所リハビリテーション施設などを建ててきた経験を生かし、それぞれの良い要素を取り入れました。インテリアでイメージしたのはホテルです。

 ニーズの高まりに応じて個室の割合を高め、大部屋も各ベッドを家具で仕切っています。かつての「個室型多床室」に当たり、これは介護老人保健施設でも同様の方式。トイレの数を増やして動線を短くするなど細かい工夫で、患者さんの療養環境も、職員の勤務環境も改善されたと思っています。

 当院はリハビリテーションがメインであるため、6階のフロア全てを使って800平方㍍ほどの大きなリハビリ専用室を備えました。設備も拡充し、藤田医科大学がトヨタと共同開発した下肢まひ者対象のリハビリテーション支援ロボット「ウェルウォーク」などを導入、運用しています。


―これからの法人全体の動きは。

 旧病院の建物は3分の1ほどを残して取り壊す計画です。残った部分を改修し、40床ほどの有料老人ホームを建設予定。さらに跡地には関連する社会福祉法人杏園福祉会により100床の特別養護老人ホーム建設が計画されています。有料老人ホームの稼働は2022年7月、特養は同8月のオープン予定。これは大きな変化になると思います。

 われわれの法人は、当院のほかに、介護老人保健施設や通所リハビリテーション施設など計八つの施設を運営しています。ただ、地域のニーズに応えるにはそれだけでは不十分。そのため、社会福祉法人を8年ほど前に設立し、特別養護老人ホーム、ショートステイ事業所など六つの事業所を開設。医療だけでなく福祉や介護にもサービス提供範囲を広げ、利用者の方の選択肢を増やし、選べる体制を整えてきました。

 しかし、これもまだ途中の段階です。地域のニーズを満たすにはまだ弱い部分があり、今後、さらに小規模施設やグループホームが必要かもしれません。

 複数の施設が点と点のようにただ存在しているだけでは意義が薄く、役割を果たしながら相互に補完しあうことが重要です。施設をさらに拡充しながら、法人内外の連携を密にする必要があるでしょう。


―介護職に対する施策は。

 採用が難しい介護職の離転職を防ぐため、2017年に「介護マイスター制度」を設けました。

 年に1度、介護福祉士国家試験の過去問から抜粋した問題を使って筆記試験を行い、年明けには実技試験。両方を総合してS ~ C の5等級にランク付けします。これで職務技能を評価し、それに応じて賞与などを含めたインセンティブが設定される方式。頑張った分だけ評価される仕組みをつくりました。

 また、介護事業所で働く職員が対象となる「介護職員処遇改善手当」を、病院で働く介護職員にも給付。法人内異動で病院に移る場合に不公平感がないようにするためで、離職防止に一定の効果が出ていると感じています。

 介護職に限らず、職員にやりがいを持ってもらうことで、結果的には病院の信用も高まっていきます。新病院となってハード面が整い、今後10〜20年は、地道に信用を上積みしていく時期です。地域の方々に信頼される医療と介護を提供できるよう、引き続き努力したいと考えています。

医療法人杏園会
熱田リハビリテーション病院
名古屋市熱田区比々野町32
☎052─682─3077(代表)
https://arh.kyoenkai.or.jp/

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