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医師教育の充実 「病産連携」強化へ

医師教育の充実 「病産連携」強化へ

産業医科大学
尾辻 豊 学長(おつじ・ゆたか)

1981年九州大学医学部卒業。
鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学助教授、
産業医科大学第2内科学教授、同大学病院病院長などを経て、2020年から現職。

 産業医学や産業保健の分野で活躍する人材を数多く輩出してきた産業医科大学。2020年4月に学長となった尾辻豊氏は、現在の強みを生かしながら、さらなる発展に向けて数々の施策を打ち出そうとしている。

コロナ禍に学長就任 対面授業再開を決断

 2020年4月の就任と同時に、新型コロナウイルスへの対応・対策に追われた。「何が正解か分からないまま、さまざまな決断を強いられました。例えば、4月の新学期開始から講義はほぼオンライン、病院実習は患者さんと完全非接触・非対話という形にしましたが、それで本当に良かったのか。この仕事の難しさを改めて感じました」

 感染者数の増減など状況に応じながら対策を改め、徐々に講義や病院実習などの制限を緩和。そして11月以降、主に1年生の授業において、対面での講義を大幅に増やした。

 「1年生は入学直後からオンライン講義なので、同級生の顔や名前を知らないままです。私自身、親友の半分以上は大学の同級生。彼らは人生の大きな財産となっていますが、今の1年生にはそれを得る機会がありません。自分の経験も踏まえ、対面での講義を増やしていきました」

国家試験合格100% この実績をさらに継続

 今後も新型コロナウイルスを過度に恐れず、大学の使命である教育、診療、研究を進めたいと言う。

 産業医科大学には医学部と産業保健学部があり、多くの学生は医師、看護師、保健師などの国家試験に挑む。学長としては、これらの合格率を高めることが最大かつ最優先の目標だ。

 「医師国家試験では、本学の2020年の合格率は100%。全国80の医学部で3校しか達成していません。ただし、過去10年の平均値を見ると、80校中25位程度です。今後も高い合格率をキープし、平均順位を高めたいと思っています」

 その施策の一つとして、現在取り組んでいるのが成績下位の学生に対するケア。夏休み・冬休み中の特別講義などに加え、最近ではメールによる質問の受け付けもスタートさせた。

 「勉強で分からないことがあった際に教務課へメールを送ると、それが担当の診療科に渡り、医師から回答が届くという制度です。質疑の内容は専用サイトにアップし、共有できるようになっています。成績下位の学生にとって、いつでも質問できることは精神的にも安心できるでしょう」

大学病院の充実と病産連携の強化

 大学での教育と同時に重視しているのが病院の充実だ。産業医科大学病院は開院から約40年、北九州医療圏の高度急性期医療において重要な役割を担っている。2023年にはハイブリッド手術室などを備えた急性期診療棟が完成予定。これによりハード面が充実し、さらなる発展が見込まれる。

 「診療面でのオンリーワンも生かしたい。当病院では、患者さんの治療と就労の両立をサポートする『両立支援科』を設けています。産業医育成という独自性を伸ばすことは今後の発展につながると思っています」

 「産業医学への貢献」も欠かせない。

 「本学には日本の産業医学を推進していく使命もあります。その点で、考えているのは『病産連携』の強化。臨床医、産業医がそれぞれの経験を持ち寄り、互いの仕事に役立てるような連携体制を構築したい。すでに具体的な取り組みも始まっています」

 目指すべき大学の未来像はどこにあるのだろうか。「開学が1978年と、〝若い〟大学です。多くの分野で数々の実績を上げていますが、まだ伸びしろはある。今の独自性や産業医学への貢献を軸として、さらに飛躍したいと思います」

産業医科大学
福岡県北九州市八幡西区医生ケ丘1ー1 ☎️093ー603ー1611(代表)
https://www.uoeh-u.ac.jp/

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