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医師の意識改革と同時に  時間外勤務の要因排除

医師の意識改革と同時に  時間外勤務の要因排除

旭川赤十字病院 
牧野 憲一 院長(まきの・けんいち)
1979 年旭川医科大学医学部卒業。同大学脳神経外科、
旭川赤十字病院脳神経外科部長、
同病院副院長などを経て、2012 年から現職。

 「医師の働き方改革は、医師の意識改革から」と、取り組みを続けてきた旭川赤十字病院の牧野憲一院長。一人の医師として、医師の気持ちに寄り添いながら、改革を推進してきた。


―「」に着手した時期やきっかけは。

 院内の全員に対して、働き方改革に取り組むと宣言したのは、2018年4月です。

 きっかけは同年2月に公表された「医師の働き方改革に関する検討会」の中間報告。国レベルで、医師の働き方改革が推進されることがはっきりと示されたことが大きく影響しました。

 それまで、われわれ医師は自分の裁量で仕事をして良いと思ってきました。夜通し手術や救急対応をしたら、翌日、都合がつきさえすれば出勤時間を多少遅らせても問題はない。そんな環境で仕事をしており、私を含めて、労働時間を管理されることを好まない人も多くいました。

 それが、「医師も労働者であり、管理者は勤務時間を把握・管理し、長時間労働を防止せよ」と明確に打ち出された。「医師の意識を変えなければならない。大変なことだ」と思いました。


―まず始めたことは。

 そもそも医師は、タイムレコーダーを押すことさえ免除されていた職種です。そこで、1日1回、どのタイミングでもいいのでタイムレコーダーで打刻してもらうことから始めました。

 当初の打刻率は5割未満。改善のため、RPA(Robotic  Process  Automation) を活用し、出勤していたにもかかわらず打刻していない人には、メールで通知が行く仕組みを構築しました。打刻し忘れた場合には出勤時間などを後から記録可能。2020年には朝晩の出退勤時2回の打刻に移行し、現在は、打刻率が9割前後に達しています。

 同時に、時間外勤務や長時間労働に結び付いてきた要因の排除も進めました。それまで時間外に実施することも多々あった患者さん・家族への説明やチーム回診、カンファレンスを平日の勤務時間内にする他、主治医制からチーム制への移行などを全診療科に依頼。

 病院幹部が集まる管理会議、診療部長会議なども時間内開催にして、会議時間の目標は15分としました。情報伝達のための会議はなくし、院内メールなどで代替。会議は議論の場と定めています。時間内開催にすることで出席率が上がるというメリットも出ています。

 時間外の開催も多かった研修会も、相当数をeラーニングに切り替え。勤務時間内の空き時間を活用して受講するよう促しています。

 これまで医師の働き方改革を進める上で、意識してきたことは「できる範囲で」。医師からすれば「もろ手を挙げて賛成」ではないことを理解し、強制しなかったからこそ、大きな反発がなく進んできたのではないかと思っています。


―今後は。

 大きな課題の一つが、夜間休日を軸とした勤務体制の再編と報酬制度の再構です。宿日直基準を満たすかどうかや勤務間インターバルの確保など、考えるべきことが多くあります。

 現在と同じ数の医師で、夜間休日の救急搬送を受け入れ続けるにはどうしたらいいのか。医師の意欲と報酬を維持しつつ、本当の意味で是正すべき過重労働をなくすため、さまざまな方策を検討しています。患者さんへの影響範囲を検証しながら、慎重に考えていく必要があるでしょう。

 と言いつつ、働き方改革におけるあらゆる問題の抜本的な解決法は医師の増員であることは明白です。当院の整形外科では2020年、月の時間外労働が80〜100時間超の医師が複数いましたが、翌春、2人増員できたことでほぼゼロに。今後、あらゆる病院が働き方改革を進める中で、医資源の集約化の議論が、加速する気がしています。

旭川赤十字病院
北海道旭川市曙1 条1 ー1 ー1
☎0166―22―8111(代表)
https://www.asahikawa.jrc.or.jp/

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