九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

医師、職員が安心して働ける病院を目指して

医師、職員が安心して働ける病院を目指して

医療法人南嶺会 勝連病院
松原 卓也 理事長・院長(まつはら・たくや)

1987年杏林大学医学部卒業。四倉病院精神科、高月病院精神科、
勝連病院精神科指定医を経て、2012年同院長、2013年から現職。

 豊かな自然に囲まれた沖縄本島南部の糸満市にある勝連病院。認知症を中心とする高齢者の精神疾患に対するケア、身体的疾病との合併症に対応すべく、精神科医と内科医が連携しながら、手厚い医療を提供している。

―病院の沿革と現況は。

 沖縄が本土に復帰して間もない1978年に、初代理事長の勝連昭夫先生が「勝連老人病院」として創立されました。創立当初から高齢社会を見据え、「地域の高齢者の精神科医療を提供する」ことをモットーに、高齢者の精神科医療に不可欠な認知症の治療を行ってきました。現在は510床。認知症治療病棟、精神科病棟、特殊疾患病棟、精神療養病棟の9病棟があり、それぞれ患者さんに合わせた治療に当たっています。

 患者さん1人に対して、精神科医と内科医計2人の医師が主治医となる体制を整えています。当院は病床数が多いこともあり、医師数を多く確保できることによるスケールメリットだと感じています。

 近隣のクリニックや一般病院との連携も大切にしています。2017年からは、沖縄県の地域医療支援病院として承認を受けている豊見城中央病院との連携を開始し、精神科リエゾンとして医師を派遣しています。

 精神的な疾患が重い患者さんは当院に転院していただく、合併症のある患者さんは豊見城中央病院の専門医に見ていただくなど、お互いにウインウインの関係を構築しています。

―認知症など精神疾患治療の取り組みは。

 高齢化とともに認知症の患者は増加しており、全国でも社会的な問題となっています。2019年6月に「認知症施策推進大綱」がまとめられるなど、国の施策としても本格的に認知症の予防・対策が行われるようになりました。

 当院ではご家庭や施設で対応が困難な方を対象にして、入院治療を行ってきました。専門医による治療とケアを行うとともに、認知症治療の経験が豊富なスタッフが回復期、維持期の作業療法・理学療法により早期退院を支援しています。

 リハビリテーション部には理学療法課と作業療法課の2部門があります。理学療法課では医師、看護師、理学療法士、介護スタッフが連携しながら患者さんに対しての訓練や指導を行い、身体機能の低下予防・改善に取り組んでいます。

 作業療法課では認知症をはじめ、気分障害、アルコール依存症などの精神疾患の患者さんに対して、医師の指導のもとに作業療法士が最適な作業プログラムを計画・実施しています。

 近年では医療の進歩と新しい治療薬の開発によって、以前に比べて精神疾患の重症患者は減少しています。「精神科を受診する」ことに対するハードルが低くなったこともあり、早期受診、早期治療によって、精神科の長期入院患者も減る傾向にあります。患者さんが心身共に健康で明るく、安らぎのある人生を過ごすためにも、地域の精神科医療を支えていく病院でありたいと考えています。

―今後は。

 2013年の2代目理事長就任以来、医師や看護師をはじめスタッフの皆さんが安心して仕事に専念できる環境づくりを心掛けてきました。おかげさまで、順調に人材が確保できている状況です。そのほとんどが地元出身であり、離職率も低く、長く勤めていただいています。

 精神科医療では、医師やスタッフの心の安定が大切です。一人ひとりの得意分野を伸ばせるよう、適材適所の人員配置やシフトづくりを心掛けています。

 職員のワークライフバランスの充実を図り、負担を軽減。不安を解決しながら、安心して長く働ける職場環境を整えていくことは、結果的に患者さんとそのご家族のためになると考えています。

医療法人南嶺会 勝連病院
沖縄県糸満市真栄平1026
☎098―997―3104(代表)
https://katsuren-hp.jp/

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