九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

医工連携活発に、障害者スポーツのサポートも柱

医工連携活発に、障害者スポーツのサポートも柱

羽田 康司 教授(はだ・やすし)
1991年筑波大学医学専門学群卒業。
米アイオワ大学留学、帝京大学医学部リハビリテーション科准教授、
筑波大学附属病院リハビリテーション部長などを経て、2019年から現職。

 リハビリテーションの専門医ら7人の医師と、60人を超えるセラピストら豊富な人材を擁する筑波大学のリハビリテーション医学。羽田康司教授に医工連携の取り組みや、教育面で重視していることなどを聞いた。


―医工連携が活発です。

 当大学のシステム情報工学系と共同研究を盛んに行っています。システム情報系の鈴木健嗣教授を中心とするグループとは、毎月定例のカンファレンスを実施しています。最近の取り組みでは、車いすユーザーが立位状態で移動できる電動車いす「Qolo(コロ)」が、下肢まひ者向けの補装具の開発を支援するトヨタ・モビリティ基金などによる世界コンテストの最終候補に選ばれました。

 脳から筋肉に送られる微弱な電気信号を感知して作動する当大学発ベンチャー企業の装着型ロボット「HAL(ハル)」についても、研究を継続しています。足がまひしている人でも肩や肘の動きによって歩行ができる使い方など、さまざまな活用法を模索しています。「HAL」を使った治療の保険適用は筋ジストロフィーなどに限られていますが、脳卒中の後遺症にも効果があると考え、治験を行いました。現在は治験を終えてデータを解析中で、治療法の一つとして選択肢の幅を広げるため、できる限り早く保険適用を実現したいと思っています。

 小児用HALの開発にも着手し、実験機で臨床研究を行っており、2021年末までに治験に入る予定です。いずれも他分野や多施設との共同研究で、内外との連携を活発にしているのが当科の特色です。


―人材が集う理由と、教育で重視していることは。

 セラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)に関しては、働きながら大学院で学ぶ流れが定着しています。仕事をしつつ、アカデミックな領域に関わりたいという理由で入局を希望する人が多いです。

 一方、リハビリテーション医は、全国的に存在意義がなかなか理解されにくいと感じており、医学生が知る機会が限られているのが理由ではないかと考えています。幸い当大学では4〜5年の実習で当科が選択コースに入っており、人員は増加傾向にあります。

 命に直結せずとも、生活に大きく関わるのがリハビリです。教育で大事にしたいのは、医学以外の世界も知ってもらうこと。障害のある人が何を思いながら、どうやって生活になじんでいくのか。大学にいるだけでは見えにくいことなので、回復期を扱う施設でじっくり1年間は経験を積んでほしいと思っています。

 セラピストとの関わり方を学ぶことも重要です。セラピストは、患者さんの変化を真っ先に感知するセンサーのような役割を果たしてくれます。

 リハ医が高圧的に接すると、異変や変化を察知しても報告しなかったり、遅れてしまったりする可能性がある。普段から積極的にセラピストに声掛けし、風通しの良い環境をつくることが重要で、若い医師にも一緒に回診しながらコミュニケーションのスキルを磨いてほしいと思っています。


―今後の方向性は。
 
 当大学は伝統的にスポーツ医学に力を入れています。当科にとっても、障害者スポーツ支援は柱で、私はリオパラリンピックに続いて21年、チーフドクターとして東京パラリンピックの日本代表選手団に同行し、選手たちの活躍をサポートしました。若い先生方も意欲的なので、今後も支援に注力したいと思っています。

 当科の大学でのポストは現在、教授、准教授の2枠なので、今後大学でのプレゼンスを高めたいですね。県内のリハ医養成プログラムは当大学にしかなく、地域のリハ医の不足は顕著です。当科の存在感を高めて発信力を強化し、一人でも多くのリハ医を育てることが今後の目標です。



筑波大学 医学医療系リハビリテーション医学
茨城県つくば市天久保2―1―1 ☎029―853―3900(代表) 
https://tsukuba-univ-reha.jimdofree.com/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる