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医局は50人の中小企業 〝社長〟の気概で責任と挑戦を

医局は50人の中小企業 〝社長〟の気概で責任と挑戦を

近畿大学医学部泌尿器科学教室 植村 天受 主任教授(うえむら・ひろつぐ)
1983年奈良県立医科大学卒業。同泌尿器科、オランダ・ナイメヘン大学研究員、
奈良県立医科大学泌尿器科助教授などを経て、2004年から現職。

 就任16年目。その間、専門である泌尿器がんの治療内容を飛躍的に向上させた。研究室も増員、競争的研究費を潤沢に獲得するリサーチラボに成長した。「早期がんから進行がんまで、すべての患者に最新治療を」との思いで奔走してきた主導者の決意に迫る。

―医局を大きく発展させました。

 30年間務めた初代教授は腎移植が専門。国内で先駆けて取り組んできた経緯があります。

 一方、がん医療に関しては積極的に行われておらず、イチからのスタートでした。基礎研究にも注力しています。研究室を再整備して実績を積み上げ、規模を拡大してきました。

 当初、医局員は全体でも20数人でしたが、現在はおよそ50人に。さらに近辺の自治体トップの中核病院を、関連病院としてほぼ網羅しています。

 若い人は2~3年ごとに、最低2~3カ所をローテートして進路を決めることができる。他科と比べ動かせる勤務医が多く、勤務先も豊富なことが特長でしょう。

 教育に関して心がけているのは、決して怒らないこと。人間、ミスは必ずあるし、失敗を覚悟して挑戦しないと、いい医者にはなれません。「最終責任は私がとる」。そう伝えています。

 医局はいわば、社員50人の中小企業。その社長として若手や中間管理職をまとめ、それぞれの生活環境を把握するのも大事な仕事です。責任を持ってみんなの面倒を見る、その覚悟でやってきました。

―がん治療に関する考えは。

 がん治療は最新でなくてはならない。そのためには、新薬をすべて把握し、世界の治験データを常に頭に入れておく必要があります。

 早期がんから進行がんまで総括的に診る、というのが私のポリシーです。早期は根治する。サジを投げられた進行がんの患者さんも引き受ける。手術はもちろん、薬物療法、放射線療法も含めた集学的治療を活用します。転移があっても、可能な限りQOLを保ちながら、内科的治療に取り組む。後方病院とも連携しながら、できる限り最後まで面倒を見る、というスタンスです。

 がんワクチン療法も行っており、全国から200人以上が治療に訪れました。保険収載でない治療や、新しい薬剤もすぐに取り入れます。その結果、患者は3倍に増加。外来には、1日100人以上が訪れています。

―グローバル契約を結ぶなど、研究も盛んです。

 リサーチラボのトップはアメリカ人。研究助手は8人、秘書を含め人件費は年2000万円以上かかりますが、企業と総括的契約を結んでいるため、十分カバーできています。研究費は潤沢に投資されているといえるでしょう。

 競争的研究費をこれだけ活用している研究室は、泌尿器科では他にないかもしれません。委託事業なので公表できるデータは限られていますが、日本やアメリカのがん学会で5~6演題ずつ発表しています。

 なぜここまでするかというと、良い医者にはリサーチマインドが非常に重要だからです。研究テーマを考えて与え、やり方を把握し、データをもとにディスカッションする。そのマインドがあれば、英語の論文を読み、自分の考えを述べることができる。勉強する意欲を失ってはいけないのです。

 定年まであと5年。今の流れを引き継いでいける環境をつくると同時に、もうひと山当てたいという願望もありますね(笑)。チャレンジ精神は大事にしたい。

 例えば基礎研究なら、バイオマーカーの特許を狙う。臨床で言えば、もう少し増員して各部門を細分化できないかと考えています。がんなら、手術チーム、薬物療法チームなどと分けてもいい。最終的には70人くらいに増やして、効率的なチームづくりができれば。それが私のゴールですね。

近畿大学医学部泌尿器科学教室
大阪府大阪狭山市大野東377―2
☎072―366―0221(代表)
https://www.med.kindai.ac.jp/uro/

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