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北陸3県でタッグを組み アレルギー医療職を育成

北陸3県でタッグを組み  アレルギー医療職を育成

福井大学医学系部門医学領域 小児科学
教授(おおしま・ゆうせい)

1985年京都大学医学部卒業。
福井県立病院、国立療養所(現:国立病院機構)南京都病院、
カナダ・モントリオール大学附属ノートルダム病院アレルギー研究室などを経て、
2010年から現職。

 福井大学、金沢大学、富山大学の3大学が協力してアレルギー専門医不足の解消を目指す教育プログラムが、2020年春、スタートした。基幹校として、事業をリードする福井大学の大嶋勇成教授は、「将来的には他エリアでの展開も考えられる」と意気込む。地域格差の改善に挑む地方の実情とは。

―就任から10年です。

 教室員の増加とともに、関連病院も大幅に増えました。県内の主な入院施設に、当教室の教室員が勤務しており、全体の風通しがいいのが強みにもなっています。救急、周産期含めて連携が進み、どのようなお子さんがどのような病気で、どこに入院しているかをしっかり情報共有できています。大学での治療後の長期フォローについても、得意分野をどうすり合わせるか、顔が見える関係性が生かされています。

 大学として、難治性疾患全般を担うのは当然ながら、初代教授の専門だった先天性代謝分野は特色の一つです。タンデムマス法を用いた新生児マススクリーニングの研究を全国に先駆けて始めており、現在は全国各地から送られてくる検体の精密検査、先天性代謝異常症が疑われる患者さんの検査を行っています。

 教室運営における課題は、やはり地方における医師不足です。限られた人材で、県全体の医療を守り、次世代を育成しなければなりません。一人ひとりが相当な自覚を持つ必要があります。

―「北陸高度アレルギー専門医療人育成プラン」とは。

 北陸は、小児科に限らずアレルギー全体の専門医が少ない地域です。県庁所在地はまだしも周辺の医療圏はさらに少なく、診療レベルの均てん化が急務となっています。国も政策として打ち出しているものの、都市部と地方の現状には雲泥の差があり、同じ論理は当てはまりません。そこで、地方なりのアプローチで改善できないかと、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の藤枝重治教授と共に文部科学省の公募に応募し、採択されたプランです。

 もともとアレルギー研究で連携が強かった福井大学と金沢大学、富山大学の国立3大学が協力して育成プログラムを作成。eラーニングやWeb会議を用いたカリキュラムで構成し、年1回のセミナーも開催。遠隔教育だからできる多施設・多職種連携を図ります。さらに、難治アレルギーデータベースを活用し、臨床研究も推進します。

 大学院生対象の本科コースでは、研究者や専門医を育成。医師・メディカルスタッフ対象のインテンシブコースでは、短期集中型のカリキュラムで専門知識を身に付けます。

 福井大学では、小児科と耳鼻咽喉科のほか呼吸器内科と皮膚科、4部門のアレルギー専門医がそろうメリットを生かし、全6課程のうち3課程を実施します。小児科には「小児アレルギーエデュケーター」という資格がありますが、対象患者の枠を成人にまで広げれば、小児病棟以外でも活躍できる。そこにも期待しています。

―課題は。

 目標は、地方にいながらも領域をリードできる研究者を育てること。さらに医師だけでなくメディカルスタッフのマンパワーを拡充すること。看護師、薬剤師、保健師、栄養士などに、関心を持って参加してもらえたらと思います。アレルギー総合診療を実践し、疾患対策の中心的役割を担える人が1人でも増えれば、現場は格段に前進します。目標は、2021年までに30人を育成することです。

 各県にはアレルギー拠点病院が認定されているものの、一部は積極的に活動できていません。そのような状況で、自前で人を育てるのは難しいでしょう。この育成プランが軌道に乗れば、マンパワー不足にあえぐ拠点病院も利用することができます。地方自ら解決の糸口を見いだすモデルになれるよう、実績を重ねたいですね。

福井大学医学系部門医学領域 小児科学
福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23―3
☎0776―61―3111(代表)
http://www.med.u-fukui.ac.jp/SHOUNI/

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