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北米式ER方式を踏襲し24時間、365日の救急医療を

北米式ER方式を踏襲し24時間、365日の救急医療を

  教授(くきた・いちろう)
1981年熊本大学医学部卒業。熊本大学医学部麻酔科
琉球大学医学部麻酔科助教授などを経て、2002年から現職。

 講座開設時に初代教授に就任し、救急部部長として沖縄に根付く北米式ER方式によって県民の救急医療を担ってきた久木田一朗教授。次なる目標である救命救急センターの設立と、2024年度の医学部及び大学病院の移転に向けて、救急医療の最前線に立ちながら後進の指導にあたっている。

―沖縄の医療事情について。

 琉球大学医学部救急医学講座は、2002年4月に設置されました。私が琉球大学に赴任したのはその前年の2001年。それまでは熊本大学医学部で炎症学を学び、熊本大学病院の麻酔科から救急・集中治療の道を歩みました。

 当初は琉球大学でもICUを担当する予定だったのですが、翌年度から救急医学講座が開設されることになり、その初代教授及び、救急部部長に就任。講座開設までの準備期間も短く、当初は、教官も私を含めてわずか3人体制。24時間対応の救急部ですから、他診療科の協力をいただきながら現在に至っています。

 沖縄県の救急医療の特徴として、1972年の本土復帰以前から、北米式ER方式が県民の医療文化として根付いていたことが挙げられます。

 これは戦後の劣悪な医療環境を改善するために、沖縄県立中部病院が米ハワイ大学との提携で臨床研修プログラムを取り入れたことに始まります。「24時間、365日、すべての人々に平等に医療を提供する」という理念のもとに、当救急部でも1次から3次までの救急患者を受け入れてきました。

―県内最大規模。救急医療の要として。

 2014年に救急災害医療棟が新設されて、さらに 救急患者の受け入れ体制が充実。病棟の面積は以前の約3倍になり、入院病床もE―HCU(救急高度治療室)6床を備え、救急医療に加えて県内最大規模の災害医療拠点として稼動しました。

 新病棟開設以来、救急外来受診件数も年間8000件を超えました。そのうち救急車受け入れ台数は、2018年度で約2100件、救急車の応需率は90%以上です。

 ここで注目していただきたいのが、年間8000件超の外来受診件数のうち、約6000人がウオークイン(直接外来受診者)であるということです。

 当救急部は、国立大学法人の附属病院では珍しく24時間体制で外来の受付を行っており、まさに24時間365日、県民に対して救急医療を提供しています。

 昨年度から、地域災害拠点病院にも指定されました。現在は、来年度中に沖縄県で4番目となる救命救急センターの認可を目指して、専用病床などの準備を進めています。

―離島医療、災害医療を含めた今後は。 

 沖縄県は多くの離島を抱えており、それら地域の救急医療に対する備えも重要な課題です。陸上自衛隊や海上保安庁と連携した急患搬送と治療を行っており、最も顕著な事例では西表島から石垣島経由、沖縄本島の琉球大学医学部附属病院まで、24時間以内に2回のフライト、2回の手術を行った実績もあります。

 災害派遣については常に出動できるチームの編成が可能です。2011年の東日本大震災ではJMAT(日本医師会災害医療チーム)として、国内で最も遠方にもかかわらず、最初に被災地である岩手県大槌町の医療支援に参加しました。

 臨床、教育、研究に加えて、地域貢献が我々の使命であると考えています。現在、琉球大学医学部と附属病院は2024年度末に西普天間地区に全面移転すべく、その準備を進めているところです。

 私はその前に定年を迎えますが、在任中に救命救急センターを立ち上げることで、その後の沖縄の救急医療を次代に託したいと思います。

琉球大学大学院医学研究科 救急医学講座
沖縄県中頭郡西原町上原207
☎098―895―3331(代表)
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/kyuigaku/

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