九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

労働者健康安全機構 理事長 有賀 徹

労働者健康安全機構 理事長  有賀  徹

 明けましておめでとうございます。災害の最たる水準ともされる新型コロナウイルス感染症によるパンデミックにさらされつつ、ウィズコロナ、アフターコロナなどと厳しい世相にあります。ここは名実ともに新たな幕開けとして新しい年を迎えたく思います。

 さて、そのような事情からわが国における救急医療、災害医療を俯瞰(ふかん)すると、全国的な救急搬送件数の増加のほとんどが高齢者(65歳以上、以下同じ)によるもので、また頻発する風水害などにおける犠牲者(死者、行方不明者)に占める高齢者割合の上昇も、わが国の高齢化率のそれをはるかにしのぐ勢いにあります。

 そこで、救急患者が救急病院に入院し、病態の安定化後に自宅にて自立した生活へと退院できればそれはそれでよいのですが、そもそも独り暮らしや、老々介護などがあって高齢者は少なからずそのようにはいきません。

 その場合、いわゆる地域密着型病院に転院し、その地域に展開する地域包括ケアシステムの仕組みに乗せていくことが必要です。また、この仕組みにて療養中の患者さんが救急搬送(垂直連携)の対象となる場合もあって、例えば再発を繰り返す肺炎にて地域密着型病院に搬送されれば、それは日常的な水平連携(・介護など)に準じた垂直連携と呼ぶことができましょう。

 すなわち、超高齢社会における救急医療は、純粋な垂直連携のみならず、水平連携に準じた垂直連携にもあずかることが求められ、夜間や週末など医療資源の乏しい状況下では、救命救急センターもこの例外ではないと思われます。

 救急医療を介した紹介、逆紹介の流れは、以上のように地域包括ケアシステムとも密につながります。従って、この流れをより一層充実させて、地域の中核的な病院と地域密着型病院・地域包括ケアシステムとの間で円滑で密な協力関係を構築することは、冒頭に述べた高齢者の被災においても、地域の災害レジリエンス(災害への備えとイザという時の対応)に大いに資すると考えます。

 もちろん、地域社会そのものに災害レジリエンスの文化をより一層醸成し、強化する必要もありましょう。これらについては多くの関係各位が力を合わせていくことが必要であると思います。

 以上、深刻なパンデミックをきっかけに、そして超高齢社会に思いをはせながら年頭所感を述べさせていただきました。

 新年を迎えて皆々さまのご多幸を切に祈念申し上げます。

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