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前向きに実現目指す 「2週間の夏休み取得」

前向きに実現目指す 「2週間の夏休み取得」

石巻赤十字病院
石橋 悟 院長(いしばし・さとる)
1991年旭川医科大学医学部卒業。東北大学医学部第二外科(現:総合外科)、
石巻赤十字病院小児外科部長、同副院長兼救命救急センター長兼
医療技術部長などを経て、2018年から現職。

 「職員にとってより良い職場環境」を追求する石橋悟院長。働き方改革も、職員の提案を積極的に取り入れ、進めている。


―医師に限らず、病院職員全員の働き方改革に取り組んでこられました。時期やきっかけは。

 大きな転機は、東日本大震災。地域の医療機関の多くが被害を受け、石巻赤十字病院に患者が集中。「限られた資源の中、『当院だけ』で、24時間365日、全ての患者さんの求めに応じることはできない」と実感しました。

 ならば地域の医療機関と役割を分担するしかない。そこで、当院は何ができるのか、何をすべきなのか、行政や周辺医療機関とすり合わせ、協力してきました。

 人口減少に対する懸念も、改革を進める大きな理由となっています。2020年の国勢調査では、日本の総人口は1億2600万人余り。5年前の調査と比べて、95万人ほど減少しています。
 
 20年後には、医療職を希望する人もかなり減る。いつまでも「医師が欲しい、看護師が欲しい」では存続できないと考え、有効に資源を使う仕組みを考え続けています。


―病院の役割として定めた範囲と、改革の具体的な取り組みを。

 当院が何としても引き受けるのは、重症、高度・急性期、周産期と定義。それらの領域に注力し、大学からの医師の派遣なども手厚くしてもらっています。

 目指すのは、「充実した労働、相当の報酬、充実した余暇」。そのために、人ができることの密度を高めよう、業務の見直し、フローの整理を進めていこうという話を職員にし続けていますし、病院のプロジェクトとしてコーチングも取り入れ、方向性の浸透を図っています。

 と言っても、具体的に実施していることは、タスクシフト、タスクシェア、主治医制からチーム制への移行、採用の強化…と特別なものはありません。やると良いと言われていることを、一つ一つ、進めているところです。

 ただ、その中で特に意識しているのは、やはり人口減への対応。業務を整理する際は、人から人へだけでなく人からロボットなど機器への移行も視野に入れて、進めるようにしています。

 現段階では人が担当することも、人がすべきこと、機器に任せられることにワークフローを整理しておけば、人が減った時や業務量が増えた時に、採用ではなく機器の購入で対応できる。すでに、現場からの提案で、AI 問診、病理検査の自動染色装置なども導入しています。


―目指す「働き方改革」の理想の状態は。

 少し乱暴な言い方をすると、「何としてでも、時間外労働の上限を国の基準に合わせよう」とは、思っていません。

 当然、時間外労働を減らす努力はしていますし、今後も継続します。でも、例えば、最終的に、医師を増やすか、患者を減らすか、というところまで行き着き、現実問題として、医師が増やせないとしたらどうするのか。医師の様子を見守り、支えながら、救急対応をしてもらわざるをえないかもしれません。それで、罰則があるとしたら、受けるしかないという気持ちもあります。

 ただ、職員に対して、単に頑張れと言うつもりはありません。福利厚生の充実や報酬面での還元も大切にしています。病院専属産業医の雇用、院長表彰など、できることを探し、実施しています。

 この秋、「2024年までに全職員が2週間の夏休みを取得」という目標を掲げました。「休むために、何をどう変えるのか」「どうしたら生産性が上がるのか」を職員に問いかけ、提案を積極的に取り入れていきます。

 働き方改革ではなく、休むための改革。そう考えると私自身、ワクワクしますし、これで実現したものが、本当の意味での働き方改革になる気がしているのです。

石巻赤十字病院
宮城県石巻市蛇田西道下71
☎0225-21-7220(代表)
http://www.ishinomaki.jrc.or.jp/

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