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制限のない医療提供 いずれ改革が必要に

制限のない医療提供 いずれ改革が必要に

社会医療法人里仁会 興生総合病院
理事長・院長(ふじわら・こうたろう)

1989年旭川医科大学医学部卒業、1993年岡山大学大学院医学研究科修了。
心臓病センター榊原病院、興生総合病院副院長などを経て、
2006年から同院長、2014年から現職。

 24時間の救急対応をはじめ、「できることを、できる限り提供したい」と話す藤原恒太郎理事長・院長。現在の医療制度は、これからの社会において持続可能なのか。話を聞いた。

―地域の現状は。

 当院では、24時間365日、近隣の民間病院とも連携を図りながら、できる限り受け入れる体制を整えています。当直は、医師や看護師だけでは成り立たないため、薬剤師、検査技師、放射線技師を各1人配置しています。普段から、救急の患者さんが来たら、メディカルスタッフがすぐに駆けつけ、お互いに役割分担しながら、よく頑張ってくれています。

 しかし、患者数が非常に多いわけではありません。三原市全体の人口は減少しており、近く9万人を割ると言われています。医療を必要とする高齢者の人数も減っており、今後の医療需要は減っていく一方だと思います。

―病院運営について。

 厚生労働省が提言している地域医療構想の内容について、一部批判も出ていますが、私は正しいと考えています。人口が減少している中、「各病院が協力して病床数を削減しましょう」というのは一つの方法だと思うのです。とはいえ、病院運営を継続するためには、ある程度患者を獲得する必要があります。厚労省は、合併や統廃合を推奨していますが、それぞれ経営母体が違うため、実施は難しいのではないでしょうか。

 借金がある病院もあれば、ない病院もある。赤字の病院もあれば黒字の病院もある。給与水準も違います。診療費は同じですが、掛かる経費は違います。赤字分を補填してもらえる病院もあれば、補助金をもらえる病院もある。一方、自力で設備投資をし、さらに収支を黒字にしなければいけない民間病院もあります。

 そのような病院が合併するのは非常に難しい。三原市内でも二つの医療機関名が公表されましたが、「この病院と合併しなさい」というところまでの指示はありません。

 この地域で、さらに深刻なのが、医師不足の問題です。大学病院に医師の派遣を依頼していますが、非常勤でも難しい状況です。医療機関に限らず、中小企業は、専門性に特化して事業を行うことがセオリーかもしれません。しかし、病院には専門に特化する人的余裕はないのです。

 医師が何でもやらなければならない。私も人間ドックを担当しますし、整形外科の医師が流行期には発熱外来も診ます。救急外来も全員で取り組みます。できる限り患者さんを受け入れるには、特化するわけにはいかないのです。

―医療制度の課題は。

 ドラッグストアで風邪薬を買ったら、3000円ほど。病院で処方されれば、診療費も含めて3000円もしないでしょう。湿布薬も病院のほうが断然安い。人件費が含まれているにもかかわらず、なぜ病院のほうが安いのか。それは、国民皆保険制度があればこそです。しかし、この制度をこの先も本当に維持していけるのか、非常に疑問に感じています。

 国民皆保険制度は、日本の経済が右肩上がりだった頃であれば良い制度だったと思います。しかし、現代にマッチしているとは言い難い。今や国は1000兆円の借金を抱えています。借金の要因は一つではないにせよ、社会保障がこの国の財政を圧迫していることは明らかでしょう。

 このまま制度を続けていくと、日本の医療制度は崩壊するかもしれません。「持続可能な社会」という言葉がありますが、そのような厳しい状況の中でも、病院を存続させることは理事長であり院長である私の使命です。できることを、できる限り、あらゆる努力をしつつ、持続させていきたいと思います。

社会医療法人里仁会 興生総合病院
広島県三原市円一町2―5―1
☎0848―63―5500(代表)
http://kohsei-hp.jp/

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