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円滑なチーム医療で高度な診療を

円滑なチーム医療で高度な診療を

乳腺・内分泌外科学講座
准教授(やまもと・ゆたか)

1991年宮崎医科大学(現:宮崎大学)医学部卒業。
米ロズウェルパークがん研究所留学、
熊本大学医学部附属病院(現:熊本大学病院)
高度医療開発センター乳癌(がん)分子標的治療学寄附講座特任准教授などを経て、
2015年から現職。

 患者が増加している乳がんをはじめとする乳腺診療全般、そして甲状腺・副甲状腺の外科的治療を行っている熊本大学乳腺・内分泌外科。いかにしてスペシャリストの育成に取り組んでいるのか。熊本大学大学院生命科学研究部乳腺・内分泌外科学講座の山本豊氏に聞いた。

―乳がんに対しての診療方針は。

 最近は、乳がん一つにしても、原因や必要とされる医療、患者さんのニーズが非常に複雑化しています。いくつかのチームが、症例ごとに協力し合いながら対応しています。

 例えば、遺伝性乳がんの場合には、医師だけで対応するのではなく、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーなどでつくる「家族性腫瘍診療相談チーム」と一緒になって当たることになっています。

 患者さんやそのご家族の取り巻く環境を考慮しながら、遺伝子検査をすすめるべきなのか、若い方で今後の妊娠や出産を希望する場合どのような解決方法があるのか。話し合いながら決めていくことになります。

 熊本大学には、他にも緩和ケアのためのチームなどがあります。これらのチームは重なり合っており、私たちが橋渡し役となって、何かあれば即時に協力し合う形になっています。患者さんに適切な医療を提供するために、何をするべきか。お互いにコミュニケーションを取って、それぞれの役割をきちんと果たしていく。それが本質ではないかと思います。

―熊本県の現状は。乳がん治療の今後についても教えてください。

 人材不足が課題です。熊本県では、患者さんの数に対して、その診療に当たる医師が不足しています。しかも専門医の資格を持つ医師の年齢層が上がってきていることも問題になりつつあります。若い人たちに、この分野に興味を持ってもらえるよう努力しなければと感じています。

 乳がんの治療成績は、全体として良くなっています。しかしながら、現在の標準治療では十分な効果が得られない方もいます。治療の効果が得られやすい人、得られにくい人の違いについて原因を調べ、治療法改善のために、これまでの患者さんから提供していただいた豊富なデータと腫瘍や血液などの検体を用いて研究を進めています。

 また、乳がんの早期発見についても、乳がんにかかりやすい人、かかりにくい人には特徴があります。乳がんのかかりやすさには遺伝的な要因に加え、生活習慣や環境も大きな影響があります。一律に2年に一度のマンモグラフィー検査を受けなくても、乳がんのかかりやすさに応じた検診の仕方や新しい精度の高い検診方法を開発したいと考えています。

―最後に教室の人材育成の特徴は。

 乳腺と甲状腺などの内分泌臓器の外科治療に特化した分野です。

 乳腺・内分泌外科は、ベースは外科になります。この分野での専門医を目指す場合のカリキュラムとしては、まず外科医としてのトレーニングを経て、サブスペシャルティとして専門医のコースを選択する流れになっています。

 外科専門医、乳腺専門医、内分泌外科専門医、がん治療認定医などの資格取得が可能です。現在、教室に在籍し、実働している医師は6人。全員がいずれかの資格を取得しています。

 熊本大学は、乳腺や甲状腺に対して熱心に取り組んでおり、学生にもこの分野に関して、多くの講義の時間を設けて教育しています。

 地域の関連病院とも連携しながら、専門医を育てること。それが大学の役割です。乳腺・内分泌分野について、研究も含めて深く学べる環境があることは、熊本大学の強みの一つだと思います。

熊本大学大学院生命科学研究部 乳腺・内分泌外科学講座
熊本市中央区本荘1―1―1
☎096─344─2111(代表)
http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/breast/

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