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円滑なチーム医療で患者QOLの高い病院に

円滑なチーム医療で患者QOLの高い病院に

兵庫医科大学病院 阪上 雅史 病院長(さかがみ・まさふみ)
1980年大阪大学医学部卒業、1984年同大学院医学研究科卒業。
香川医科大学(現:香川大学医学部)耳鼻咽喉科学講座、
大阪大学医学部耳鼻咽喉科学講座、兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座教授、
同大学病院副院長などを経て、2019年から現職。

 専門である耳科手術では、術者目線でなく、患者のQOLから見た手術戦略を15年にわたり提唱。現在、病院長として、「患者QOLの高い病院づくり」に取り組む。4月に就任した阪上雅史病院長に話を聞いた。

大学病院としての役目を果たすために

 就任以来、できる限り現場の状況を把握するため、病棟などを回っていると言う阪上病院長。

 「病院長就任前に、副院長と兼任して医療安全管理部長を5年間務めました。非常勤も合わせて2600人に及ぶ職員全員に、業務上の重要事項を周知する難しさを、身を持って経験しています。的確な指示を出し、職員にそれを理解してもらうためには、まず私がそれぞれの現場を見て理解することが重要です」

 特定機能病院、災害拠点病院として、高度で質の高い医療を提供する義務が大学病院にはある。

 「自分で見たからと言ってすべて把握できる訳ではありませんが、その責務を果たすためにも、まず現場を知ることが重要だと考えています」

患者さんのQOLを忘れない

 阪上病院長は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科学の教授として、難聴の診断と治療を主な専門にしてきた。特にここ15年ほどは、患者のQOLから見た耳科手術に注力。5000例以上の手術を手掛けてきた。

 「従来は、術者から見た治療成績、例えば耳科手術であれば再発率や聴力改善率の向上などに焦点が当てられてきました。しかし、長期的に術後の経過観察をすると、聴覚が改善されても味覚に違和感が残る場合など、患者さんから見ると、手術の成功が満足度に直結していない事例は少なくありません。そこで、患者さんのQOLを考慮して治療戦略を立てるべきと思うようになりました」

 情報化社会で、患者や家族の希望、価値観も多様化している。そのニーズに応え、患者の生活を重視した医療を病院全体で提供していきたいと語る。

 「高い技術と温かい心、そして倫理性を持った医師を育てたい。私は、常々『患者さんを自分の親だと思って治療しなさい』と話しています。その視点で見れば、患者さんのQOLも決して無視できないでしょう」

 もう一つ重要なのは、医師だけではなく、多職種によるチーム医療が不可欠ということ。兵庫医科大学病院には、所属部署を越えて患者のケアに当たる「褥瘡(じょくそう)対策」「緩和ケア」などに加え、新たに発足した「認知症ケア」など10の医療チームがある。チーム医療が注目されるようになる以前から取り組んできたこともあり、チーム医療体制はうまく機能している。

 「良き伝統を継承し、さらにこの体制を強化させるためにも、私はあいさつと返事を決しておろそかにしないよう、全職員に伝えています。チーム医療においては、職種間の上下関係なく、協力できる関係が必須ですから」

新病院棟では、快適かつ近代的な医療を提供

 兵庫医科大学では開学40周年の2011年、開学当時のままであった施設面の老朽化を解決しようと「西宮キャンパスグランドデザイン(整備計画将来構想)」を策定。以降、災害拠点病院としての最新設備を備えた急性医療総合センターや、教育研究棟の建設などが着々と進められてきた。

 その構想の仕上げとなる新病院棟は、2025年に竣工、2026年の開院を目指している。

 阪上病院長は、副院長時代に、新病院建設準備室室長を兼任。同準備室担当や新病院建設委員会メンバーとともに基本計画を策定してきた。

 新病院棟ではこれまで以上に、「安全で質の高い特定機能病院」「よき医療人を育成する大学病院」「災害・救急医療の機能を備えた災害拠点病院」「病診・病病連携を強化した地域中核病院」、そして「患者さんとご家族にやさしい病院」として、さらに重要な役割を担うこととなる。

 「現在の病院はもうすぐ築46年にもなります。快適で、今の時代に合う医療を提供するためには、新しい病院棟が必要なのです」

職員にとっても、より良い環境を

 新病院棟の重要なテーマに「教職員が働きやすい病院」がある。

 「より良い医療を提供するためには、職員のQOLの向上も取り組むべき課題です。新病院棟の建設による職場環境の改善もその一つですが、仕事と家庭の両立などワークライフバランスを実現できる柔軟な働き方も、今後ますます重要となるでしょう」

 実際に、放射線科では2018年からICTを活用し、在宅でMRIやCTの画像診断をするテレワークを開始。現在はまだ限定的だが、他科での導入も検討していると言う。

 教職員の気持ちをひとつにするため、新病院棟の建設に向けて掲げたスローガンは「みんなでつくろう新病院~輝く未来のために」だ。

 「今後も職員一丸となり、謙虚に〝日々勉強〟の精神を大切にしていきたいですね」

兵庫医科大学病院
兵庫県西宮市武庫川町1-1 ☎0798-45-6111(代表)
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/

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