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内視鏡技術生かし膵がん精密検診を始動

内視鏡技術生かし膵がん精密検診を始動

神戸大学大学院 医学研究科 内科学講座 消化器内科学分野
児玉 裕三 主任教授(こだま・ゆうぞう)

1994年神戸大学医学部卒業。米カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員、
京都大学大学院医学研究科消化器内科学講師などを経て、2018年から現職。

 神戸大学大学院医学研究科内科学講座消化器内科学分野は、最先端の内視鏡技術などを武器に阪神圏のがんや難病の診療、研究をリードする。2020年7月には、早期発見が難しい膵(すい)がんの精密検診を開始。狙いや展望を児玉裕三主任教授に聞いた。

―膵がんの精密検診を始めた理由は。

 膵がんは、臓器の位置や初期症状の少なさが要因で見つかりにくく、発見されたときには既に進行していることが多い「予後不良のがん」です。1㌢以内で発見できれば5年生存率は80%とする報告もありますが、早期に発見できないのが長年の課題となっています。

 当教室は、1㌢以内の膵がんを見逃さずに診断できる技術は持っています。ただ、検査のチャンスがなければ見つけることができません。そこで、家族歴があるなど膵がんのリスクが高い人や、がんのことが心配な方などの希望があれば精密な検査を受けられる窓口を設けることにしました。

 人間ドックなどと異なり膵臓を専門とする医師が診断することは大きな強みで、大学内の外科や放射線科、病理などさまざまな分野の協力もあって実現しました。もちろん、膵がんの有病率を考えると、検診をすれば早期の患者がどんどん見つかるわけではありません。幅広い人に予防の意識を高めてもらう狙いもあります。

―精密検診の方法は。

 超音波内視鏡(EUS)に加え、磁気共鳴画像装置(MRI)や陽電子放射断層撮影装置(PET)の先端技術を用いて膵臓を検査します。

 手軽な1日コースと、より精密に調べる2日コースがあり、いずれもEUSは実施します。超音波を発する装置が先端に付いた胃カメラで胃や十二指腸の内側から膵臓に超音波を当てる手法の検査で、腫瘤ができる膵臓の「本体」を調べるのに強みを発揮します。

 その上で、1日コースは膵液が流れる膵管の精査に強いMRIで、膵臓、、胆嚢、胆管などの上腹部の臓器を調べます。放射線の被曝がなく、低侵襲なのがメリットと言えます。

 2日コースは通常のMRIではなく、PET―MRIを使用します。PETとMRIが一体となった装置で、全身のPET画像とMRI画像を同時に撮像できます。両コースとも、腹部エコーや血液検査も実施。EUSは膵臓だけでなく、胃や十二指腸も一緒に検査するので、まとめて精密なチェックができます。保険診療ではなく、検査料は全額自己負担。現在は1日コースが11万6600円、2日コースが20万200円です。

 検査を実施するのは週1回なので受検者はそれほど多くありませんが、関東など遠方からの予約もあります。膵がん以外の異変が早期に見つかり、診療につなげたケースもありました。

―教室の他の取り組みは。

 当教室は消化管、、胆膵、炎症性腸疾患、化学療法の五つのグループに分かれています。それぞれ各種のがんや潰瘍性大腸炎などの難病を中心に診療と研究に当たっています。

 17年には、大学病院の本体とは別に、国際がん医療・研究センター(ICCRC)が神戸市内に開設されました。そこに消化器内科として19年に参入し、診療に取り組んでいます。内視鏡治療の高い技術を臨床により生かすための試みで、「分院」のような位置付け。これまでは診断から治療までの待ち時間が長くなり、患者さんに不便をかけていましたが、大幅に短縮できました。

 20年11月には、医師や看護師、臨床工学技士が全て女性の「女性内視鏡外来」をICCRCに開設。女性患者の心理的な抵抗感を和らげる診療を試みています。

 膵がんの早期発見につなげるためのバイオマーカーの研究も力を注ぐ課題。教室の総合力で、阪神圏の消化器内科のレベルを高めていきたいと思っています。

神戸大学大学院 医学研究科 消化器内科学分野
神戸市中央区楠町7―5―1
☎078―382―5111(代表)
https://www.med.kobe-u.ac.jp/gi/

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