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内視鏡外科手術の技術磨き 人材育成へ力を注ぐ

内視鏡外科手術の技術磨き 人材育成へ力を注ぐ

岩手医科大学医学部外科学講座 佐々木 章 教授(ささき・あきら)
1988年金沢医科大学医学部卒業。
同年、岩手医科大学医学部外科学第1講座(現:外科学講座)入局。
同講師などを経て、2015年から現職。岩手医科大学附属病院病院長補佐兼任。


 岩手県内唯一の医学部である岩手医科大学は創立から120余年という歴史ある伝統校だ。今年9月には矢巾地区に新たな附属病院の開院を予定。診療の核となる外科学講座は国内の内視鏡外科手術をけん引する。

―講座の特徴など。

 消化器外科、一般外科、小児外科、乳腺外科などさまざまな分野に取り組んでいます。中でも内視鏡の外科手術に力を入れている点が大きな特徴です。

 当院では年間約1200件の手術を実施していますが、その多くが内視鏡を使ったがんの手術です。内視鏡の外科手術は患者さんにとっては低侵襲ですが、外科医にとっての難易度は高く、技術の習得は大変難しいものです。そこで当講座では、患者さんに安全な内視鏡外科手術を提供するために、日本内視鏡外科学会技術認定の取得を目指しています。

 認定を受けるためには、実施した手術の映像を同学会に無修正で提出して審査を受けます。この審査に合格すると技術認定取得者とみなされます。泌尿器科、産科婦人科など五つの領域がありますが、中でも消化器・一般外科領域の2017年度の合格率は24%という厳しいものです。

 当講座には認定された医師が全領域にわたって8人おり、若手医師の指導に当たっています。医療安全を考慮した教育体制ができていると自負しています。ただ、岩手県全体に認定医が行き渡っているわけではありません。認定制度に合格できる医師を輩出し続けていくことが今後も重要だと考えています。

 また、手技の向上のために本学はカダバーサージカルトレーニングも進めています。しかし最も大切なのは実臨床での指導です。これまでの実績もあり、今では他の大学や病院から研修や手術見学にお越しになる方も少なくありません。

 かつて、手術といえば開腹、開胸が当たり前でしたが、今では内視鏡外科手術が主流になりつつあります。しかし根治性が同等でなければ新しい手術をやる意味はありません。安全性や整容性も求められます。

 また、4Kや8Kカメラの登場で、従来は見えなかった神経や血管なども可視化できるようになりました。新たな技術を導入することは患者さんの治療の選択肢が広がることにもなります。


肥満症外科手術認定制度委員会の委員長です。

 2014年に、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険収載されたことをきっかけに肥満外科手術が急速に増えています。これは大変難しい手術ですが、かつてアメリカでは急速に手術が広まり事故が増加したこともあります。これに対し日本肥満症治療学会としても認定制度を設けることで手術の安全を担保したいと考えています。

 肥満の方は合併症も多く、メンタルの部分でも専門的なケアが必要な場合が少なくありません。手術が成功しても精神科医の介入を必要とし、長期的なサポートが欠かせません。

 ただ、肥満だからこそ内視鏡外科手術のメリットが生かされています。従来の開腹手術で見えなかった部分が内視鏡を使用することによって見えるようになり、このような手術ができるようになったのです。

 肥満外科手術はまだまだ認知度が低い術式です。今後も外科、そして内科への教育や患者さんへの周知などが必要です。


今後の課題など。

 今年9月、本学附属病院は県内のほぼ中心部である矢巾地区に移転します。盛岡地区以外からもアクセスしやすいように現在整備を進めています。

 設備も最新になりますので、治療環境が充実することで、県内唯一の大学病院として、より高難度の手術に取り組みます。その上で地域の医療機関と連携を強化し、患者さんの紹介・逆紹介が円滑にできるように緊密な医療連携を構築していきたいと考えています。


岩手医科大学医学部外科学講座
盛岡市内丸19―1
☎019―651―5111(代表)
http://surgery-iwate-med.jp/

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