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内視鏡に習熟した消化器内科医を育成

内視鏡に習熟した消化器内科医を育成


教授(むらかみ・かずなり)

1983年広島大学医学部卒業、大分医科大学(現:)第二内科入局。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学、大分大学医学部附属病院内視鏡診療部部長などを経て、
2013年から現職。同病院長補佐兼任。

 日本消化器内視鏡学会理事などを務める村上和成教授は、「医師になって早々に内視鏡の面白さに目覚めた」という。内視鏡の進化は消化器内科の検査と治療領域を大きく広げている。時代のニーズに応えられる消化器内科医の理想像とは―。

―消化器内科について。

 消化器内科は上部消化管、下部消化管、加えて肝胆膵と非常に守備範囲が広く、疾病も治療法も多岐にわたります。私は日本消化器内視鏡学会のほか消化器病学会、ヘリコバクター学会、消化管学会、高齢消化器病学会、潰瘍学会、と六つの全国学会の理事を務めています。

 大学医学部と同附属病院の使命は臨床と研究、教育ですので、国内外の多くの医療機関と共同研究に取り組み、学会や研究を通じて情報交換しています。

―内視鏡の活用が増えています。

 内視鏡はひと昔前まで診断法の一つでした。例えば内視鏡で胃の組織を採取して病理検査で「がん」だと分かれば、外科手術にバトンタッチするという流れでした。

 今は検査だけでなく、治療も可能な時代です。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、胃がんに関しては、外科手術よりも症例数が多くなっています。開腹も胃の切除もしないので、低侵襲で回復も早い。もちろん、、早期治療は必須です。

 発がん因子であるピロリ菌の感染者は、全国に3000万人と推定され、保険適用で除菌治療を受けられます。ただ、胃がんの早期発見には内視鏡検査が欠かせません。日本の従来の胃がん検診はエックス線撮影だけでした。短い時間で大勢を検査できるメリットがありますが、エックス線フィルムの読影では小さな早期胃がんは見つけにくい。2016年から内視鏡検診も選択できることになったので、市中の医療機関で内視鏡検査が増えており、内視鏡に習熟した医師を養成する必要があります。

 検査方法がなく「暗黒の臓器」といわれた小腸もカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡が実用化されています。カプセル型は飲み込んで小腸の蠕(ぜん)動運動で進みながら鮮明な画像を自動撮影。バルーン内視鏡は、カテーテル先端の風船を膨らませたりしぼませたりして腸管を手繰り寄せて進みながらカメラで観察できます。

 胆管と膵管の検査にはERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)があります。極細のカテーテルを挿入し、造影剤を注入して画像を撮影。膵液を採取、細胞診を行うことも可能です。また、膵臓内の腫瘍の精査やスクリーニングにはEUS(超音波内視鏡検査)という超音波と内視鏡を組み合わせた装置も汎用されています。

 AI(人工知能)が読影に導入され、過去のデータと比較してがんであるか否か、進行程度の判定も行われています。しかし、最終的には習熟した医師の目と経験で見直すことが必要でしょう。

―消化器内科医の理想像は。


 「内視鏡のスペシャリストであり領域にとらわれないジェネラリスト」を育てたい。大分県唯一の医学部なので地元の医療に貢献する使命があります。消化器内科医局には約100人が所属、県内の医療機関に派遣していますが、へき地では幅広い領域の診療を求められ、鍛えられて成長します。

 内視鏡検査や治療のニーズは増えるばかりですが、習熟した医師が不足しています。少なくとも内視鏡のスクリーニングができ、さらにESDと十二指腸のEST(内視鏡的乳頭筋切開術)ができる医師を育成したい。これから内科医を目指す若い人たちには「内視鏡はすごくおもしろい」ことを知ってもらいたいですね。

 東南アジアでの内視鏡医師育成支援事業など国際貢献にも積極的に取り組み、ベトナムからは3カ月のローテーションで医師を受け入れています。これは若い医師や医学生の、よい刺激にもなっているようです。


大分県由布市挾間町医大ケ丘1―1
☎097―549―4411(代表)
http://www.med.oita-u.ac.jp/shoukaki/

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