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兵庫医科大学 脳神経外科学講座 高度な血管内治療、脳卒中判別法も開発

兵庫医科大学  脳神経外科学講座 高度な血管内治療、脳卒中判別法も開発

主任教授(よしむら・しんいち)
1989年岐阜大学医学部卒業。
スイス・チューリヒ大学脳神経外科学留学、岐阜大学大学院医学系研究科臨床教授などを経て、
2013年から現職。

 脳血管障害を中心に、高度な専門医療を提供する兵庫医科大学脳神経外科学講座。救急患者の救命率を高めるため、救護現場向けの研究開発にも力を注ぐ。吉村紳一主任教授に取り組みや展望を聞いた。

―講座の方向性は。

 脳神経外科分野で国内トップクラスの集団になることを目指しています。分かりやすい指標の一つは手術件数。2013年の着任以降、大学病院での手術件数は順調に増えています。19年は前年より97件多い930件。着任当初に目標とした「年間1000件」に届くところまで来ました。

 診療分野が広いことも特長です。大別して「脳血管障害」「腫瘍」「脊椎・脊髄」の「診療3本柱」を構えています。メインは脳血管障害です。私の専門でもあり、外科手術と血管内治療の「二刀流」で、未破裂の動脈瘤や脳梗塞の急性期治療など、脳血管障害に関するほぼ全ての治療を手がけています。

 腫瘍と脊椎・脊髄も専門性の高い診療を提供しています。加えて、四つ目の柱を立ち上げる準備も進めています。てんかんやパーキンソン病などに伴う震え「振戦」の領域で、治療経験のあるスタッフに再び国内留学をしてもらい、23年度から正式に開設する予定です。

―「看板」である脳血管障害診療の特長は。

 くも膜下出血の原因となる未破裂の動脈瘤の症例数は全国的にも多く、治療成績も良好です。大学病院では低侵襲の血管内治療が全体の約8割を占め、高度な修練が必要な最新の治療デバイスも積極的に取り入れています。

 例えば、動脈瘤の入り口にメッシュの細かいステント「フローダイバーター」を留置する治療法は、これまで150例余り手がけました。血管の分岐部にある動脈瘤の治療に有効な「パルスライダー」も導入。1月からは、同じく分岐部向けのデバイス「WEB」も取り入れました。

―救護現場向けの研究開発については。

 脳卒中疑いの患者の救護現場で、救急隊員がその病型を見分けられるシステム「JUST Score」を18年、内田和孝講師をリーダーとする研究チームで開発しました。患者の年齢、けいれんの有無など21項目をチェックして機器に入力すると、すぐに病型を判別。適切な医療機関の選択や速やかな搬送が可能となります。20年には、改良を加えた「JUST―7 Score」を開発。チェック項目を七つにして、現場での作業時間を短縮しました。

 こうしたシステムは、広島市や兵庫県西宮市など都市部の自治体が導入しているほか、適切な搬送先の選択がより重要となる離島や山間部の医療機関での導入も目立ちます。

 今は、AIを用いて的中率を高める新仕様の開発も進めています。データ解析を論文にまとめ、21年度中の運用にこぎつけたいです。IT、AIを活用した診断補助機器は今後も急速に広がると見込まれ、その研究にも力を入れ、救命率の向上に貢献したいと思います。

―人材育成の方針は。

 若手医師についての第一目標は、脳神経外科専門医の資格取得です。必要な経験を積むため、学内の各種グループや関連施設を一定期間、回ってもらいます。

 特に重視しているのは「実際に触れる経験」です。なるべく早く手術に関わり、さまざまな症例で手を動かす経験を重ねてもらう。水泳も、周りで見ているだけではいつまでたっても泳げませんから。もちろん、肝要な部分は指導医が行いますが、若手もチーム医療を担う一人として積極的に経験させ、伸ばす教育方針です。

 一人ひとりが志望領域でトップレベルの技量を備え、サブスペシャリティーも持って国際的にも活躍できる。そんな医師を育てていくための「応援団長」として、働き方の見直しを含めた職場環境づくりに努めます。


兵庫県西宮市武庫川町1―1 ☎0798―45―6111(代表)
http://www.hyo-med.info/

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