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共に成長する大学へ

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朔 啓二郎 学長(さく・けいじろう)

1978年福岡大学医学部卒業。米シンシナティ大学内科フェロー、
福岡大学医学部心臓・血管内科学主任教授、同大学病院副病院長、同大学医学部長などを経て、
2019年から現職。

 2019年12月、第9代学長に朔啓二郎氏が就任。医学部を軸に長年、大学の発展に寄与してきた。新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の拡大に際し、学長提言を打ち出すなど素早い対応に注目が集まっている。

学生の不安に対し強いメッセージを出す

 「人類の歴史は感染症との闘いでした」

 この一文から始まる朔学長の提言が、福岡大学のホームページに掲載されている。「コロナからニュー福大へ。私たちが試されている。」というタイトルが掲げられ、人類が細菌やウイルスと共存しコントロールしてきた歴史をひもとき、COVID―19拡大を転機と捉えた上で、学長としての考えを打ち出した。

 きっかけは、感染拡大によって報道が過熱する中、社会に大きな不安が広がっていると感じたためだ。「学生の不安を少しでも解消するために、学長として、しっかりとしたメッセージを伝えたいと思いました」

 また、医療従事者に対して、一部から心ない言葉が投げかけられたという報道を耳にするたびに、心を痛めている。「医学は感染症に向き合い、そしてそれを乗り越えてきたことを理解してほしいと思います」

医工連携の促進 創立100周年へ向け

 COVID―19を機に、学長自らが〝命ファースト〟を掲げ、社会のニーズに応える新たな取り組みが、大学全体で始まっている。

 学生に対する遠隔授業開始もその一つ。4月の始業に合わせて関係者に通信環境の整備を願い出ると同時に、学内の情報システムの構築を順次強化している。

 また、COVID―19の拡大に伴う医療現場の備品不足を解消することを目的に、医学部と工学部の連携による製品化を実現。工学部にある「ものづくりセンター」が中心となり、3Dプリンターやレーザー加工機を活用して、医療資材を製作。フェースシールドは量産にも踏み出し、地域の医療機関への無償配布も始まった。

 また、創立100周年へ向け、5年ごと、3期に分けた中長期計画を策定し、目指すべき将来像を実現すべく進めている。「不安な時代だからこそ、明確な指針を示したい」。リーダーとしての覚悟が静かな口調ににじむ。

医学教育で得た〝共に育つ〟喜びを

 86年の歴史を持つ福岡大学は、医学部をはじめ9学部31学科を擁する総合大学。これまで約27万人という卒業生を輩出してきた。

 自身は1978年に同大医学部を卒業。循環器疾患の研究で知られる福岡大学荒川規矩男教授(当時)の薫陶を受ける。荒川教授の後を引き継ぎ現在の心臓・血管内科学の主任教授の他、福岡大学病院副病院長や医学部長を務めるなど、学生時代を含めると40年以上を、この大学で過ごしてきた。

 「真面目な学生でしたね」と自らの学生時代を振り返る。試験が終わると、ヨーロッパやインドなどを旅し、異文化に触れた。

 教育者として学生や医局員と接する時に心掛けてきたことが三つある。褒めること、励ますこと、認めること。「誰でも褒められたらうれしいもの。それぞれの考え方を認めることも大切にしてきました」

 学長に就任後、組織をまとめ、率いていくためにも自らの考え方を分かりやすく示そうと「Rise with Us」というスローガンを掲げた。

 「医学教育に長年携わる中、教育を通じて、教える側と教えられる側の両者が共に成長できることを実感しました」。医学教育からの経験を「教育」ではなく「共育」と捉え、教育する側が学び続けることの重要性を全学部にも広げたいと考えている。

 「Rise with Usは、大学全体で共に駆け上がっていくイメージです」。学生と共に大学が成長し続けることを、強く願う。

福岡大学
福岡市城南区七隈8-19-1 ☎️092-871-6631(代表)
https://www.fukuoka-u.ac.jp/

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