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公立病院の責務を追究 医療格差のない地域へ

公立病院の責務を追究 医療格差のない地域へ


病院長(からすだに・ひろひで)

1982年千葉大学医学部卒業。君津中央病院、京都大学医学部脳神経外科、
国保松戸市立病院(現:松戸市立総合医療センター)技術局長、
同診療局長などを経て、2014年から現職。

 国保松戸市立病院が移転し、2017年末に名称も新たに開院したのが松戸市立総合医療センターだ。東葛北部保健医療圏の基幹病院、そして広域の患者を受け入れる3次救急医療施設としての期待を背負う。「公立病院だからこそ果たすべき役割がある」と烏谷博英病院長は話す。

─病院について。

 3次救急と小児・周産期医療に力を入れています。東葛北部保健医療圏には、3次救急医療機関が当院を含め2カ所しかありません。松戸市は県境にあることもあり、隣接する東京都葛飾区やその隣の足立区、埼玉県の三郷市や八潮市などからも重症患者を受け入れています。

 東葛北部保健医療圏唯一の地域周産期母子医療センターと、小児医療センターを設置。全国的に小児科医不足が叫ばれる中、当院には30人の小児科医がいます。病棟、PICU(小児集中治療室)、小児夜間急診と、3人の当直体制が取れているのは大きな強みだと考えます。PICUは、県内はもちろん、全国でも数少なく、ドクターヘリも有効に使いながら対応しています。

 今、出生1万人当たりNICU25~30 床が求められている一方で、産科の閉鎖が相次ぐなど、周産期医療には課題が山積みです。われわれは高い専門性と総合力を備えることで「子育てしやすい松戸市」であり続けるための一翼を担っていきたいと思っています。

─病院長としての試みは。

 「すべての人に『来てよかった』と思われる病院を目指します」を理念にしています。患者さんだけでなく、医療スタッフが気持ち良く働き、患者さんに優しくできるようにしたいという考えから、掲げました。風通しの良い組織づくりや協力関係の下、医療に尽くせる環境をつくることは、私にとっての課題です。

 医療レベルを保ったり、新しい取り組みを行ったりするためには、研修医にとっても「来てみたい病院」でなければいけないと考えます。研修2年目のプログラムをフリーにし、研修医自身が主体性を持って取り組むシステムにしました。今、当院での研修希望者数は、採用人数に対して約5倍の応募となっています。

 地域との連携も重要です。一つは外来化学療法室の活用。沿線に、がん診療に関して高い専門性を持つ病院が点在しているため、他院で手術した患者さんにも放射線治療と抗がん剤治療を行っています。また、緩和ケアにおいては、当院で病状を落ち着かせ、在宅に戻ったり、緩和ケア病棟に転院したりできるよう、連携を強化しています。

 この地域は脳神経外科医が多いのですが、医師数に恵まれていても、当番医制で1カ所に患者さんを集めていては、時間との勝負の治療はできません。そこで地域の脳卒中診療担当医で集まり、松戸市消防局の協力を得て「脳卒中から市民を守ろう!」をスローガンとする「松戸脳卒中ネットワーク」を立ち上げました。

 救急隊が受け入れ病院の1カ月先までの態勢を把握・評価することで、常にすぐに治療できる病院に患者さんを搬送できる仕組みをつくりました。後遺症を少なくし、ADLやQOLを損なわずに済むよう、松戸市からネットワークを広げていきたいと思います。

─今後は。

 新病院移転時に、高精度放射線治療装置を導入しました。ピンポイントの照射が可能で、高齢でも治療が受けられます。高齢男性に増えている前立腺がんの治療に積極的に取り入れたいと思っています。

 医療に「隙間」があってはいけません。3次救急や小児・周産期医療が病院経営での不採算部門になろうとも、「隙間」ができないように埋めるのは公立病院の役割です。黒字部門の拡大に努めながら、信念を持って医療を提供していきます。

松戸市立総合医療センター
千葉県松戸市千駄堀993―1
☎047─712─2511(代表)
https://www.city.matsudo.chiba.jp/hospital/

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