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公立病院と民間病院が併設 役割分担で新医療モデル

公立病院と民間病院が併設 役割分担で新医療モデル


大串 雅俊 院長(おおぐし・まさとし)

1983年山形大学医学部卒業。同大学医学部放射線科講師、米沢市立病院副院長などを経て、
2018年から現職。

 病院の再編、統合が加速している。山形県米沢市では、米沢市立病院と民間の三友堂病院が、同じ敷地内に併設して新病院を建設しようというユニークなプロジェクトが動き始めた。米沢市立病院の大串雅俊院長にその真意を聞く。

―公立病院と民間病院が協力するその背景は。

 当院と三友堂病院がいずれも新病院建設の時期を迎えていたこともあり、連携が実現することになりました。10年ほど前から、統合を含めた将来構想について検討していたのですが、当時は課題も多く、話は進みませんでした。

 2004年に始まった臨床研修制度によって、医師は都市部に集中する傾向に。加えて東日本大震災以降、東北では医師確保が難しくなり、当院も例外ではありませんでした。

 すでに、病院の建物は築約50年。建て替えの必要があり、新病院の基本構想が2014年にまとまりつつありました。

 ところが、当院の精神科の医師が突然全員退職することになり、計画は一時中断。精神科の問題は、地域の精神科病院との連携で2017年に解決しましたが、この間も、単独での建て替えについて、再度検討を重ね、医師会など関係者との話し合いも続けていました。

 しかし人口減、高齢化が進む米沢市で、医師数を確保しながら病院を運営するには再編もやむを得ない選択です。再び三友堂病院との話し合いを進めたところ、同院の仁科盛之理事長も、時代の変化を感じておられたのでしょう。2018年に、ついに連携することが正式に決まりました。

 三友堂病院は130年以上の歴史ある病院です。そこで統合はせず、運営はそれぞれ従来通り、隣接して2病院を建設するという手法を選択。これまでどこも試みたことのないような連携にしたいと考えたのです。

―連携による期待は。

 連携に当たり、山形大学医学部の嘉山孝正参与を委員長とする「米沢市医療連携あり方検討委員会」で、米沢市としての一定の方針を定めました。2病院の役割分担を明確にした上で、当院の現在地に両院が隣接して新病院を建設します。

 当院は急性期、三友堂病院は回復期を担います。現在、三友堂病院にある急性期の機能は医師を含め、すべて当院が継承します。これにより、病院機能が重複することはありません。

 医療機器など共有できるものは互いに活用することで、無駄を省くことができます。それぞれの病床も削減するため、両病院で150床ほどの減床になります。

 しかし、一病院としてみると全体規模が大きくなり、トータルの症例数は増えると予想しています。しかも急性期と回復期が1カ所で診られる病院として、各大学も期待を持ってくれているようです。研修医にとっても魅力的な病院となれば、医師確保への起爆剤になると考えています。

 二つの病院は一つの建物の中に入り、壁とドアで仕切るだけなので、自由に行き来することができます。中間部にはアメニティーセンターを造り、講堂や食堂、コンビニエンスストアなど、両院が共用できる機能を集約させます。

―順調に進んでいますね。

 米沢市の平日夜間休日診療所の機能が建物の中に入ることも決まりました。行政には環状道路の整備を要望しており、地域住民にとって利用しやすい病院づくりを検討しています。

 今回のプロジェクトは、登山で言えばまだ5合目程度。2023年の開院へ向けて計画が動き始め「天の時、地の利、人の和」という故事を実感しています。

 統合は難しいけれども、何か別の連携の方法はないかと模索している病院も多いかと思います。新たな方策と言えるような〝米沢モデル〟の実現に向け、力を尽くします。


山形県米沢市相生町6―36
☎0238―22―2450(代表)
http://yonezawa-city-hospital.jp/

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