九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

全国から熱い注目を集める 熊本発の認知症医療モデル

全国から熱い注目を集める 熊本発の認知症医療モデル

神経精神医学講座
講師(ふくはら・りゅうじ)
1997年愛媛大学医学部卒業。愛媛大学医学部附属病院精神科神経科講師、
熊本大学医学部附属病院(現:熊本大学病院)神経精神科特任講師などを経て、
2016年から現職。熊本県基幹型認知症疾患医療センター副センター長兼任。

 進みゆく高齢化社会で、ますます関心が高まる認知症。認知症の早期発見、診療体制の充実、人材育成などを目的に県内の専門医療機関が連携しているのが「熊本県認知症疾患医療センター」だ。その基幹型認知症疾患医療センターの副センター長として活動している福原竜治氏にセンターの概要について聞いた。

—熊本大学の神経精神医学講座の特徴は。

 1904年に開講された伝統ある講座で、常に『患者さんと共に歩み、最善を求めて、探究を続ける。』を理念に、患者さん一人ひとりの症状に応じた診療を行っています。
 
 その中でも大学病院ですから、医師を含めた専門スタッフの教育は重要な役割です。「ジェネラリスト+スペシャリスト」、いわゆる自分の専門領域を研究しながらも精神科のあらゆる場面に対応できる人材育成を目指しています。

 若い医師には、救急を含めた多様な診療場面を経験する研修を実施。病気が起こる理由や原因を探求する研究者マインドを養う教育も行っています。

 診療面では、精神科病床を有する総合病院という役割から、身体合併症を有する患者さんの入院治療を行ったり、大学病院という役割としては、高度医療を提供し、診断・治療が難しい疾患に対応したりしています。例えば若年発症の認知症は同じ疾患でも頻度がかなり少なく、高齢発症のタイプと比べて症状もやや異なるため、診断が難しいことがあります。そういった患者さんが他の病院やクリニックから紹介されてくるのですが、大学病院としてしっかり検査して治療方針を定めていくといったことを行なっています。

—「熊本県認知症疾患医療センター」とは。

 大学病院の大きな目的の一つが地域との連携です。「熊本県認知症疾患医療センター」は、その地域連携が形になったものと言えます。

 熊本大学の「熊本県基幹型認知症疾患医療センター」を含め、2009年に「認知症疾患医療センター」を県内8カ所に置いてスタートしました。現在は、県内12カ所に増え、相互に連携しながらさまざまな活動を行っています。

 患者さんが30分以内でアクセスできることを目標に、県内の隅々までカバーするのは全国でも珍しく「熊本モデル」と称されています。

 熊本県や熊本市といった行政が参加している点も特徴です。目的は①認知症の早期診療と鑑別診断。②認知症に伴う精神症状や行動障害の治療③認知症を持つ方の身体合併症の対応。④かかりつけ医や認知症サポート医の標準医療の普及や啓発。⑤認知症の医療や介護にかかわる専門医の育成。⑥医療・介護・福祉の地域連携システムの構築などです。

 現在は年4回の事例報告会や、各種さまざまな研修会を行っています。精神科医だけでなく、精神科治療に関わるメディカルスタッフも含め、多い時には100人超が参加し、職種を超えて熱心に議論しています。若い医師やスタッフのスキルアップにつながればと思います。

—今後の目標は。

 熊本県では、2025年には約5人に1人が認知症になると予想され、認知症は身近な病気になりつつあります。まずは、研修や講習会を通して認知症の患者さんだけでなく、ご家族も安心して暮らせるように、身近な支援ができる環境を整えていくことが目標です。

 「熊本県基幹型認知症疾患医療センター」センター長である、当講座の竹林実教授は気分障害の専門家であり、現在、患者さんの病状が回復して仕事に復帰するまでなど、社会的な回復までを支える取り組みを開始しています。

 「熊本県認知症疾患医療センター」による幅広い認知症への取り組みに加え、精神科疾患全般に手厚い医療を提供できるような組織づくりを目指しているところです。

熊本大学大学院 神経精神医学講座
熊本市中央区本庄1—1—1
☎096—344—2111(代表)
https://www.kumamoto-neuropsy.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる