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全員で立ち向かう意義 自ら繰り返し伝え続ける

全員で立ち向かう意義 自ら繰り返し伝え続ける

独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター
久保 俊英 院長(くぼ・としひで)
1984 年岡山大学医学部卒業。国立岩国病院
(現:国立病院機構岩国医療センター)、岡山市立市民病院、
岡山医療センター副院長などを経て、2019 年から現職。

 岡山県南東部の中核病院の岡山医療センターは、新型コロナウイルス感染症に流行初期から組織一丸で対峙(たいじ)してきた。職員のモチベーションを維持するための取り組みについて、久保俊英院長に聞いた。


―これまでの取り組みは。

 当院のコロナ対策は、2020年1月24日に岡山市保健所長が当院に来訪してから始まりました。当院は県の小児医療の基幹病院で、小児の優先受け入れを要請されました。当時、県内では成人も含めて患者はまだいませんでしたが、小児は重症化する懸念もあり、私はその場で快諾。院内の管理診療会議で、公的病院の使命として小児に限らずコロナ患者を受け入れる方針を職員に通達しました。

 早速受け入れ準備を始め、1病棟をコロナ専用病棟に改修しました。同時に対策本部を立ち上げ、院内感染対策、一般医療継続、外来対応、入院対応、周産期のチームを編成。20年12月にはもう1病棟を専用病棟に転用しました。

 当初から「全員野球」を掲げてきました。第4波では県全体の病床逼迫(ひっぱく)をいち早く予測し、自主的に重症患者の受け入れ病床を増床する方針を決定。第4波までは主に呼吸器内科と総合診療科で対応していましたが、内科系全科に外科、、麻酔科もコロナ重症病棟に投入して危機を乗り切りました。

 同時に一般病床50床を休床し、そこの看護師をコロナ重症病床に配置して人工呼吸器管理などの体制を整えました。最終的に全609床のうちコロナ関連に転用した2病棟42床と一般病棟50床を休床。約100床縮小したことになり、通常医療提供体制には大きな制約がかかりましたが、各科の理解と協力もあり何とか乗り切れています。


―最も苦慮したことは。

 コロナ対応に従事した職員の心理的負担がとても心配でした。社会的偏見、差別や院内でも誤解が生じるなど多少の問題はあったものの、聞き取りや説明会の開催、精神科医の早期介入などで大事に至らずに済んでいます。問題はむしろ感染状況が落ち着いている時期の看護師のモチベーションを維持することでした。 
 
 コロナ専用病棟の看護師は、感染状況が落ち着いている期間は他部署へ応援に行きます。コロナと対峙するという崇高な志を持っているのに助勤に回るということは、自分の存在意義を問うことになり、モチベーションをどう維持してもらうかに心を砕きました。


―モチベーション維持のために実行したことは。

 特に気を付けたのは、前方・後方支援も含め全員で立ち向かうことを繰り返し周知することと、働き方に変化をつける時は必ず終わりを明示することです。

 情報を全て開示すること、公的医療機関の使命として「皆で家族も含めた県民を救う」ということも決起集会で繰り返し訴え続けました。また職員全員に手書きのバースデーカードを配布して労いの言葉をかけました。職員の不満が原因で方針を転換したことは一度もなく、感謝の一言しかありません。

 コロナ診療と並行して、ポストコロナを見据えた体制づくりを進め、年間プロジェクトの遂行は逐次チェックしてコロナに流されることがないよう努めました。年間プロジェクトの一つとして、中庭空間を公園化する事業に取り組んでいます。職員が計画を立てて院内庭園を整備する事業で、コロナで荒んでしまいそうな心を少しでも和らげられればと期待しています。

 コロナ禍で私が学んだことは、意思伝達の難しさです。決起集会を何度も開いて自らの言葉で熱く語りかけることに努めました。それでも、全職員が本当に同じ方向に向いてくれるのには数回を要しました。今後、平時においても自分の言葉で繰り返し繰り返し語りかけるよう努めていきます。

独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター
岡山市北区田益1711―1
☎086―294―9911(代表)
https://okayama.hosp.go.jp/

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