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全人的な医療を実践するリハビリテーション科医を

全人的な医療を実践するリハビリテーション科医を

島根大学医学部 リハビリテーション医学講座
教授(まにわ・そうきち)

1987年島根医科大学医学部(現:島根大学医学部)卒業。
米ハーバード医学校、ボストン小児病院、島根医科大学附属病院助教授などを経て、
2017年から現職。

 島根県において課題とされているリハビリテーション科医の不足。「急性期から生活期まで一貫して対応できる医師を育てたい」と語るのは、島根大学医学部リハビリテーション医学講座の馬庭壯吉教授だ。島根県の現状、専門医の育成の課題とは。

―診療の特徴は。

 患者さんの約4割が、脳血管疾患リハビリテーションを受けられています。神経難病の患者さんには、仮想現実(VR)を利用した歩行機能改善リハビリテーションツールを使用。脳卒中や脊髄損傷の後遺症として痙縮(けいしゅく)に悩んでおられる患者さんには、ボツリヌス療法が増えてきました。末梢(まっしょう)神経磁気刺激装置、単関節型HAL、懸垂型歩行訓練装置なども導入しています。

 夕方の時間帯には、スポーツ復帰を目指す学生を中心に、「アスレチック・リハビリテーション」外来を設置。時々、プロスポーツ選手も受診されます。

 「ウィメンズ・リハビリテーション」外来では、骨盤臓器脱術後、産後の腹圧性尿失禁といった女性特有の課題に対し、自費によるリハビリテーションを提供しています。

―リハビリテーション科医の魅力とは。

 リハビリテーション医療の目標は、患者さんの生活を病前の生活に少しでも近づけること。このテーマはとても遠大で、達成は容易ではなく、多くの専門職種と協力する「チームアプローチ」が必要です。これが、魅力の一つと言えるでしょう。

 例えば、軽症例の心肺運動負荷試験や経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)の術前・術後評価については循環器内科と協力します。ほかにも、嚥下(えんげ)内視鏡トレーニングの受講(耳鼻科)、骨粗鬆(しょう)症リエゾンチームの普及活動(整形外科)、バクロフェン髄注療法(ITB)や覚醒下手術のマッピングへの協力(脳外科)、食道がん術前の集中リハビリテーション(消化器外科)など、各診療科との良好な関係を構築し、チーム医療を行っています。

 急性期病院では、クリニカルパスに従って、患者さんを限られた期間に臓器別に診療していくことが一般的です。リハビリテーション科医師は、回復期病棟で、主治医として患者さんの全身管理を行いながら、日々改善に向けてサポートします。

 さらに生活期においても患者さんの機能維持に関わり、全人的な医療を実践できる点も魅力の一つです。

―人材育成について。

 2017年にリハビリテーション医学講座が開設されてから5人の研修医を迎えることができました。研修医それぞれの個性を伸ばせる研修プログラムを立案。どの分野にも対応でき、急性期・回復期・生活期を一貫して担当できる医師を育成したいと思います。

 2020年4月からは県内の公立病院へ常勤医を派遣できました。しかし、島根県のリハビリテーション科専門医の数は17人と全国でも少なく、専門医の育成が急務。より多くの医師を育て、県内からの派遣要請に応えたいと思います。

 2019年に島根県が行った勤務医師実態調査によると、リハビリテーション科医の充足率は70・7%でした。必要数の32・8人に対して現員数(常勤換算後)は23・2人で約10人不足していました。必要数は各病院の希望人数に基づく数字ですが、県内の病院の状況を考慮すると、この数には妥当性があるように思われます。

 圏域別の充足率が低いのは、大田(50・0%)、松江(65・8%)、浜田(66・7%)であり、県西部のみならず、全圏域で充足していないことがうかがえます。そのためにも島根大学の専門研修プログラムで専門医を養成し、必要とされる医療圏域、病院に派遣することが、私どもの使命であると感じています。

島根大学医学部 リハビリテーション医学講座
島根県出雲市塩冶町89─1
☎0853─23─2111(代表)
https://www.shimane-u-reha.jp/


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