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先進的な研究を推進 健康長寿を担う医師を育成

先進的な研究を推進 健康長寿を担う医師を育成

外科病態学講座 整形外科学分野
教授(いとい・えいじ)

1980年東北大学医学部卒業。米メイヨークリニック・バイオメカニクス研究室、
秋田大学大学院整形外科学講座教授などを経て、2006年から現職。
東北大学大学院医学系研究科スポーツ・運動機能再建医学寄附講座教授兼任。

 東北大学の整形外科教室は、井樋栄二教授を中心にして、近年では肩関節外科の研究・臨床で世界をリードしてきた。さらにチャレンジは止まることなく、幅広い領域でさまざまな取り組みを続けている。これまでの成果や今後の展望などを井樋氏に聞く。

―講座の特徴や強みを教えてください。

 肩関節外科の分野で、国内外から評価されている研究・治療がいくつかあります。例えば、当講座が提唱した肩関節脱臼の保存療法「外旋位固定」や、肩脱臼による骨欠損を定量的に評価する概念「関節窩(か)軌跡」などは、世界的にも大きな反響がありました。

 また、近年では人工関節や人工骨の研究・開発にも力を入れています。東北大の金属材料研究所と共同開発した人工関節は、人間の骨に近い低弾性チタンを採用。体になじみやすく、耐用年数が高いという特長もあります。すでに治験は終了し、今は販売に向けて動いているところです。

 人工骨に関しては、東北大歯学部と共同でオクタリン酸カルシウムの人工合成と、それを用いた人工骨の研究・開発を進めています。従来の人工骨は、長い時間をかけて本来の骨に吸収されるのですが、開発中のものは時間を短縮できる可能性があります。現状、動物実験では良好な結果が出ていますので、今後は治験に向けて取り組みたいと思っています。

―スポーツ・運動機能再建医学寄附講座について。

 私が兼任で教授を務めているこの講座では、日本人の上肢運動器疾患などの疫学データを収集し、病態を解明することで、治療や予防法を確立したいと考えています。

 これまで、東日本大震災の被災者や、少年野球の全国大会に参加した子どもなど、さまざまなグループを対象に健康調査を行ってきました。少年野球の調査では、テレビゲームを1日3時間以上する子どもは肩や肘の障害が多いという傾向も分かり、その原著論文は米国のウオール・ストリート・ジャーナル紙でも取り上げられました。

―ロコモの予防啓発に取り組まれています。

 21世紀の医療が目指すのは、健康寿命を延ばすことです。現在、日本では男性が約8年、女性は約12年の要介護期間があると言われており、その最大の要因は運動器疾患です。今後、要介護期間を短くし、健康長寿社会をつくる上で、整形外科医の果たす役割は大きいと考えています。

 そこで、まず大切になるのがロコモティブシンドローム、いわゆる「ロコモ」の予防啓発です。運動機能が衰えて歩けなくなる前に、自分の「ロコモ度」を自分でチェックし、早めに医療機関を受診していただきたい。現状、ロコモに関する世間の認知度は、それほど高くありません。引き続き多くの皆さんに知ってもらえるよう、注力したいと思っています。

―講座の今後について。

 整形外科医の需要が高まってきているため、多くの若い人に入局してほしいですね。当講座には、専門研修プログラムがあり、救命救急センターで高度外傷も学べます。女性でも働きやすい環境が整っていますので、まずはこれらの強みをアピールして、整形外科に興味を持ってもらいたいと思います。

 私が医学部を卒業してから40年がたち、2021年には定年を迎えます。これまでを振り返ってみると、整形外科の魅力は、非常に分かりやすいことです。患者さんを診れば、どこが悪いのか分かる。手術をすれば、曲がらない膝が曲がり、上がらない腕が上がる。患者さんはすぐに結果が出たことで喜びますし、医師も喜びを共有できます。若い人たちには、このような魅力を、ぜひ知ってもらい、整形外科医を目指してほしいと思います。

東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 整形外科学分野
仙台市青葉区星陵町1ー1
☎022―717―7000(代表)
https://www.ortho.med.tohoku.ac.jp/

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