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富山大学学術研究部医学系内科学(第二)講座 先進的な治療法で地域医療を底上げ

富山大学学術研究部医学系内科学(第二)講座 先進的な治療法で地域医療を底上げ

絹川 弘一郎 教授(きぬがわ・こういちろう)
1988年東京大学医学部卒業。米カリフォルニア大学サンフランシス
コ校、米コロラド大学、東京大学医学部循環器内科講師、同大学重
症心不全治療開発講座特任教授などを経て、2015年から現職。

 2015年から富山大学学術研究部医学系内科学(第二)講座の教授を務める絹川弘一郎氏は、これまでの経験を生かし、先進的な治療法を次々に導入、北陸と周辺地域の循環器医療をけん引している。現在の取り組みや今後の展望などを聞いた。


―教授就任から約6年になります。

 まず着手したのは、主に心不全に関する標準的な治療体制の構築と、先進的な治療法の導入です。着任する直前の2015年5月に、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を成功させていたことで、すでに先進治療への理解や、外科との協力関係はできていました。

 この土台を生かしながら、私の専門である人工心臓による治療への準備を進め、2017年に完全大血管転位症の患者さんに対して体外設置型の補助人工心臓(VAD)を用いた治療を実施。当時としては国内2例目、富山県では初の例です。最近は体外設置型のVADよりも侵襲度が若干低く、汎用性も高い循環補助装置としてECMO(体外式膜型人工肺)を使うことが多くなっています。



―臨床・研究面について。

 臨床面では、虚血性心不全、心臓弁膜症、不整脈など、循環器全般の治療に最新のカテーテルデバイスを用いています。このような最新の治療法を取り入れていることは、当教室の大きな強みだと思っています。加えて、心筋梗塞や狭心症に対する冠動脈インターベンション、心房細動へのアブレーション治療の症例数が多いのも特徴の一つですね。

 研究面に関しては、不整脈、虚血、心不全などのグループがあり、それぞれ精力的に取り組んでいます。薬物治療や最新デバイスの臨床研究など、最近は論文の業績も少しずつ増えてきました。

 一方、全員が研究に目を向けているとは限らないのが目下の課題です。もちろん、人間には向き不向きがあり、いくら高度な治療を行っていても、論文に落とし込むのが苦手な人もいます。日々の診療が忙しいこともありますが、基礎研究を含めて、もう少し研究の視点を持つことが必要ではないかと感じています。


―循環器内科医に必要な資質は。

 私自身は元来、臨床志向がそれほど強くなく、基礎研究に長く携わってきました。米国留学から帰国した2002年以降は、臨床一筋ではあるものの、それ以前に学んだ物事の見方・考え方は、今でも大いに役立っています。

 例えば、誰かに「この薬が効くから使いなよ」と勧められても、すぐには納得せずに調べる。まずは物事の理屈を考え、それをバックグラウンドにして、理論的に順序立てながら自分の治療法を確立することが大切だと思います。循環器以外の領域に限らず、これは医師全般に言えることかもしれません。


―今後の教室運営は。

 当教室では関連病院を増やしており、現在は岐阜県の飛騨高山や新潟県の上越地域にも医師を派遣しています。そのためにマンパワーは不足気味で、今後はもう少し若い人に入局してほしいと思っています。

 ただ、循環器内科は非常に忙しい印象があるため、決して人気のある科ではありません。一筋縄ではいかないものの、これからは教室の魅力、やりがいなどをより積極的にPRして、趣旨に賛同してくれるアクティブな若手を多く集めたいですね。当教室には女性医師もいますので、彼女たちにロールモデルとなってもらい、女性も働きやすい環境であることも伝えていきます。

 対外的には、地域医療における「最後の砦(とりで)」という使命を引き続き担い、われわれの取り組みを広く知ってもらいたい。先進的な医療を提供していること、困ったときに頼れる存在であることを広報していきたいと思います。



●富山大学学術研究部医学系内科学(第二)講座
富山市杉谷2630 ☎076―434―2281(代表)
http://www.med.u-toyama.ac.jp/inter2/

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