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先行モデルとなる〝生涯活躍のまちづくり〟を

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 7月、兵庫県立柏原病院と柏原赤十字病院が統合。丹羽市健康センター「ミルネ」や丹波市立看護専門学校を集約するメディカルコンプレックスが誕生した。このミッション遂行のため、秋田穂束院長が、前身の一つである兵庫県立柏原病院に赴任して6年。「これからが本番です」と語る院長には、壮大なビジョンがあった。

◎全国初の自治体病院と赤十字病院の統合

丹波市健康センターや丹波市立看護専門学校に隣接する兵庫県立丹波医療センター

 統合に至る理由の一つは、両病院ともに深刻な医師不足にあったという。まず取り組んだのは、兵庫県立柏原病院の診療機能回復。道筋をつけながら新病院づくりに着手し、ようやく7月1日、兵庫県立丹波医療センターがオープンした。

 「県立柏原病院は急性期と緩和医療、柏原赤十字病院は回復期をメインに総合診療や健診を担ってきた経緯があります。そこで新病院ではこれらの機能を融合しました」

 27診療科を標榜し、急性期204床、地域包括ケア45床、回復期リハ45床、緩和ケア22床、感染症4床の計320床。丹波地域のニーズに応じ、急性期から回復期、終末期まで幅広い医療を担っていく。

 隣には、「ミルネ」を開設。赤十字病院が担ってきた総合診療外来、訪問診療や健診・人間ドックを展開するほか、丹波市の保健、福祉、介護部門、丹波市医師会が運営する休日応急診療所もここへ移設された。「病院、兵庫県、丹波市が一丸となって地域の医療・健康づくり推進するユニークな拠点の誕生です」

 オープン後は、予想を超えるスピードで患者数が増加。今は238床体制で、稼働率は常に97%ほど。救急搬送数も1・5倍近くに急増。救急機能はさらに、強化していく構えだ。

◎目指すのは教育で勝負する病院

幅広い診療に対応する新病院の受付エリア

 「大事なのは、将来への種まき」と秋田院長は語る。設計においては、スキルスラボやカンファレンス室、指導室、学生用の宿泊施設などの教育設備に十分に配慮した。

 現在、研修医は17人。短期研修として他院からも30人ほどが来ている。「いろいろな立場の人が交わることによって、自己や他者を知り、切磋琢磨(せっさたくま)できる環境につながっています」

 また、内科は一つで、総合的に診ている。「臓器別ではなく多様な疾患を診ることでの教育効果は非常に高いと感じています。研修医の臨床能力試験でも高い成績を残しています。『ゼネラルマインドを持つ医者を育てる』という、私がずっと大事にしてきたことが、実現できているのではないかと思います」

 へき地などで勤務する医師を確保するための兵庫県養成医師制度においては、卒後、県職員として勤務する医師たちの臨床研修の場にもなっている。地元で活躍する医師の育成にも、さらに貢献していくつもりだ。

◎地域医療のモデルに

 治療やケアだけでなく、予防や健康増進にも配慮しながら、見守り支える医療活動が求められている。予防医療に関しては今秋から「ミルネ」を中心に丹波市や神戸大学と協働。認知症やフレイル防止のプログラムを実施し、ICTでのデータベース化を推進する。

 さらに丹波市では、医療介護情報連携システム「ちーたんネット」の運用を、2019年7月に開始。病院、医院、歯科医院、薬局、介護施設での情報共有が着々と進んでいる。

 「私が目指したいのは、〝生涯活躍のまち〟です。病院とミルネ、『ちーたんネット』の機能、福祉施設などが充実すれば、人口減少に歯止めがかかるかもしれません。医療、健康、福祉は有望な産業であり、地域活性の柱になり得るのではないでしょうか」

 丹波を新たな地域医療モデルにしたい、全国に発信できる健康寿命日本一のまちにしたい―。夢の実現は、始まったばかりだ。

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