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先取の気風で新しい医療を創る

先取の気風で新しい医療を創る

大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学
宮川 繁 教授(みやがわ・しげる)
1994 年大阪大学医学部卒業。桜橋渡辺病院、
大阪大学大学院医学系研究科最先端再生医療学共同研究講座
特任教授などを経て、2021 年から現職。


◎発展目指す節目の時期

 教授に就任してまず、講座の歴史を振り返り今後の方向性に思いをはせることが重要だと思い、発展の歴史をひも解いてみました。 

 本学外科学は130年の歴史があります。1922年に2講座制となり、第一外科は初代教授にドイツからフリッツ・ヘルテル先生を招聘(しょうへい)し、私で8人目となりました。2022年が第一外科創設100周年の節目で、これからは過去の業績を振り返りながら、さらなる発展を目指すべき時期だと考えています。

 これまで当講座は、本邦初の開心術、先天性心疾患の術式開発、臓器移植法下の心移植再開、ステントグラフト開発、「ハートシート」の保険収載、iPS心筋のファースト・イン・ヒューマン試験などと、日本における先駆的な業績を数多く残してきました。

 1世紀にわたる発展の歴史から垣間見えるように、当講座の特徴や強みは医療現場や社会の問題を抽出して解決に向け研究し、シームレスに臨床で実践する「トランスレーショナルリサーチ」を絶え間なく実践し、新しい治療法を開発してきたこと。そして新しい治療概念や発想、新規性の高い医療機器を国内外から取り入れてきたことです。

 私は今後、心臓血管外科学の成熟化、進化を図ると同時に、学問として発展させることを目指します。こういった先取の気風、そして新しい医療を創ることに当大学の独自性があり、私が次世代に伝えていく大命題だと思っています。


◎人材育成が最優先

 講座を運営していく上でやりたいことは多くありますが、やはり人材育成が一丁目一番地で、私たち独自の方法で教育を進めていこうと思っています。私たちの「魂」である外科手術手技の進化は必須で、手術手技の進化を探求すると同時に、外科教育の充実を図ることも必須です。

 外科教育の充実のためには、きめ細かい教育システムの構築、そしてハイボリュームセンターをつくり上げていくことが必要です。特に、心臓血管外科学の発展のためには、手も動き、頭も働くアカデミック・サージャンの育成は最重要課題で、こういった人材育成を行うことは当講座の悲願です。

 アカデミック・サージャンだけでなく多様性のある人材を育てたいと思っています。働き方改革やワーク・ライフ・バランスに則した新しい勤務体制の構築、そしてAI、IoTなどさまざまな分野における急速な技術革新、そして高齢者の増加と人口減少など激動の時代が到来しています。無策であれば、症例数の減少など、ともすれば心臓血管外科全体の衰退につながりかねないと思っています。
 
 こういった問題はアカデミック・サージャンだけの育成では対応できない可能性があり、これまでにない教育の抜本的改革が迫られています。これらの変革を乗り切るためには、一人一人を大切にした人材育成が重要です。心臓血管外科学を基盤にしてさまざまな分野に長け、抱いた信念を最後までやり遂げる人材を世界に多数輩出しようと考え
ています。

 やはり、心臓血管外科学をさまざまな方向性から観察し、発展させることが必要で、アカデミック・サージャンだけではなく、次世代の心臓血管外科学を創造できるような人材を育てたいと思います。


◎周りへの感謝大切に

 私が医局員に事あるごとに言っているのは、自分の周りにいる人たちに感謝すること、夢を持つこと、そして自分の将来をどう見据えるのか早い段階から認識し、信念を曲げず努力し続けることです。

 得てして、心臓血管外科医は自分の力で全てができると思ってしまうことがあります。失敗をすることも多々あり、メディカルスタッフの方々も含めて周りの人たちの力で成り立っていることを忘れがちです。 

 夢と感謝、そして強靱(きょうじん)な信念があれば、どんな困難なことでも乗り越えることができるし、新しい医療を創造することも可能なはずです。これは医局員だけではなく、まだまだ未熟な自分への戒めでもあります。

大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学
大阪府吹田市山田丘2-2 ☎06-6879-5111(代表)
https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/surg1/

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