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働き方を変えるには社会の理解が欠かせない

働き方を変えるには社会の理解が欠かせない

独立行政法人 労働者健康安全機構 長崎労災病院 福崎 誠 院長(ふくさき・まこと)
1977年川崎医科大学卒業。長崎大学医学部附属病院(現:長崎大学病院)
関東逓信病院(現:NTT東日本関東病院)などを経て、2014年から現職。

 佐世保県北医療圏に位置する長崎労災病院。1957年に開院し、60年を超える歴史の中で、地域医療、勤労者医療の推進に努めてきた。「私たちが担うべき役割は、時代と共に少しずつ変わってきている」と福崎誠院長が言及するように、万が一の災害時に地域を支える存在としても期待されている。

―どのような点に力を入れていますか。

 労働災害による負傷や職業病などを治療し、勤労者の早期の職場復帰を後押しする。そうした視点で発足したのが労災病院です。

 産業構造などの社会環境の変化に伴って、提供する医療の内容も、より時代のニーズに応えるものへと変わっていきました。

 一つは、健康を維持して安心して働ける環境づくりに貢献する産業保健の領域です。労災病院を運営する労働者健康安全機構は、各県に産業保健総合支援センターを設置しています。その活動の一環として、当院も地域の事業所に医師を派遣。私も毎月、産業医として造船所を訪れ、働く方々の健康づくりをサポートしています。

 働く場を直接見るからこそ、病院の外来診療とはまた異なる医療の課題を知ることができます。

 働く人のメンタルヘルスをどう守るか。医師として難しさを感じることの一つです。病気で長期間仕事を休んだ方が、せっかく職場に復帰しても、なかなか続かない。そんなケースが少なくないのです。

 少子化、高齢化が進行する社会においては、労働人口の確保が重要なテーマです。治療と仕事の両立支援は、ますます必要とされると思います。

―地域医療で大切なのは。

 チーム医療とは「患者やそのご家族も含めたチーム」であることが理想ではないかと考えます。国が推進している医療機関の機能分化なども、地域の方々の理解なくしては成立しないでしょう。

 こうした患者さんとの関係性のあり方は、医師の働き方とも関連します。長崎県は人口10万人当たりの医師数が全国的にも多いと言われているものの、やはり都市部に集中する傾向があります。

 ここ県北エリアの医師数も十分とは言えず、当院としてもタスク・シェアリングや院内託児所の整備、時短勤務の導入などで医師の確保に取り組んでいるところです。

 ただ、医師の働き方を改善するには、やはり社会全体に変化を受け入れてもらうことも必要です。

 例えば、できれば仕事を休まずに済むよう「医師の説明は休日に受けたい」と希望される患者さんやご家族は多いと思います。早退したり、平日に休んだりといったことが、もっと当たり前になっていくことで、医師の働き方が変わる部分もあるでしょう。

 こうした中、当院では地域のみなさんを対象とした市民公開講座を開いたり、広報誌を発行したりといった活動を通して、積極的な情報発信に努めています。

 また、毎年「健康フェスタ」を開催しています。イメージは「病院の文化祭」。今年5月のフェスタは医療機器の展示や体験、血圧測定などの健診コーナー、子ども向けの記念撮影、ヘリポート見学などで構成し、100人を超える地域の方々がお越しになりました。交流を深める良い機会になっていると思います。

―今後は。

 この地域は水害が多いのです。当院は長崎県の災害拠点病院、DМAT指定病院として、大規模災害発生を想定した訓練、BCP(事業継続計画)の策定などで、もしもの事態に備えています。自然災害だけでなく、ここ佐世保市には基地がありますので、テロの可能性を踏まえた訓練なども実施しています。

 今の時代や、この地域が必要とする病院のあり方とは。これからも考え続けていきたいと思っています。

独立行政法人 労働者健康安全機構 長崎労災病院
長崎県佐世保市瀬戸越2─12─5
☎0956─49─2191(代表)
http://nagasakih.johas.go.jp/

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