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個々の病態把握こそ適切な治療への鍵

個々の病態把握こそ適切な治療への鍵

琉球大学大学院医学研究科 整形外科学講座
主任教授(にしだ・こうたろう)

1992年鳥取大学医学部卒業。
米ピッツバーグ大学整形外科特別研究員、
神戸大学医学部整形外科講座脊椎外科学部門特命教授などを経て、2019年から現職。

 琉球大学の整形外科学講座の主任教授である西田康太郎氏は、長年の経験から整形外科医としての確固たる信念を持ち、教室運営や人材育成などを進めている。西田氏に具体的な取り組みや整形外科の魅力について聞いた。

―整形外科医に求められる能力について。

 私は、「個々の病態を把握することが治療の鍵を握る」という信念を持っています。これまで沖縄の整形外科分野では技術がやや偏重されてきたような印象を持っています。もちろん手術の腕も大事ですが、まずはなぜそのような症状が起きているのか、根本的な原因は何か、そのために必要な検査を進め、病態を把握することが最優先です。その上でどのような治療戦略を立てるかが重要です。

 手術をする場合も、どのような手術をどのタイミングで行うのか、術後のフォローアップをどうするのかを含め、全体を見て深く考えなければいけません。整形外科医として大きく差がつくのは、技術よりも病態把握の部分であると考えていて、教室員にも常々説いています。

―人材育成に関する考え方を教えてください。

 当教室では「目の前の患者さんのために」と「目の前にいない患者さんのために」をコンセプトに掲げ、それに沿った人材育成を進めています。まず目の前の患者さんに対しては、高いレベルの医療を提供することが重要です。沖縄県は地理的な制約があり、県内でほぼ全ての整形外科的治療を完結させる必要があります。

 そのためには、個々の医師の能力を高めることが不可欠です。当教室では国内外へ武者修行に出向くことを積極的に奨励しており、そこで得た最新の技術や考え方を沖縄に還元してもらうことで、常に高いレベルを維持したいと考えています。同時に、脊椎外科や小児整形などまだ不十分な分野に人材を投入し、強化することも重要です。一方で、目の前にいない患者さんの存在も常に考えなければいけません。1人の整形外科医が治療できる患者さんの数は、頑張っても年間で数百人。しかし、実際にはもっと多くの患者さんがいて、さまざまな症例があります。

 「現在目の前にいない患者さん」に対応するためには、普段の診療から得た経験、発見を、論文や学会などで社会に広く周知することが必要です。さらに「未来の患者さん」に対応するために、新たな治療法の研究・開発、さらには良医の育成が必要です。

 女性医師の活躍も推進しています。整形外科は体育会系というイメージがあり、全体的に女性の割合は低い傾向にありますが、当教室では出産、育児などそれぞれの事情に応じたプログラムを整備し、全体でサポートする体制を構築することで、より多くの女性に整形外科医を目指してもらえるように取り組んでいます。

―整形外科医の魅力とは。

 何よりも患者さんが多いことですね。治療対象は頭部、内臓、皮膚を除くほぼ全てで、対象年齢も赤ちゃんからお年寄りまでと幅広い。疾患内容は発達障害、変性疾患、腫瘍、炎症性疾患、外傷、スポーツ障害までを含みます。

 さらに、手術ではマイクロサージャリーからダイナミックな人工関節手術などまで守備範囲の広さが大きな特徴ではないでしょうか。運動器を扱うという特徴から、治療の結果が明確に実感でき、患者さんと喜びを共有できることも魅力です。

 今後は高齢化に伴い、腰痛や変形性関節症などがますます増えていくことが予想されます。がんも医療の進歩で不治の病ではなくなり、患者さんの日常生活活動(ADL)を維持するための治療を担う整形外科医の役割は、より求められることになるでしょう。今後の整形外科を支える人材が一人でも多く増えてくれることを願っています。

琉球大学大学院医学研究科 整形外科学講座
沖縄県西原町上原207
☎098―895―3331(代表)
https://www.ros2019.com/

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