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信頼される医療 全道民に届ける

信頼される医療 全道民に届ける

札幌医科大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学講座
千葉 弘文 教授(ちば・ひろふみ)
1993 年札幌医科大学医学部卒業。米ナショナル・ジューイッシュ
医学研究センター留学、札幌医科大学医学部呼吸器・
アレルギー内科学講座准教授などを経て、2021 年から現職。


 千葉弘文氏は、北海道内の他大学と連携した人材確保や、患者への貢献を目的とした研究に尽力している。見据えるのは、教授就任時に掲げた「全ての道民に信頼される医療を提供する」という大きな目標の実現だ。


目標実現のため道内3大学で結束

 9月の就任後、一番初めにしたのは、北海道内の3次医療圏の中で特に呼吸器内科医が少ない釧路・根室医療圏に派遣されている教室員の元を訪ねることだった。教室の使命の「一丁目一番地」を臨床と捉え、過酷な状況でも奮闘する教室員に感謝を伝えて敬意を払うことが、何よりも優先すべき仕事と考えたからだ。

 就任時、約60人の教室員に向けて伝えた目標は「全ての道民に信頼される医療を提供する」こと。医師不足の地域でも一定水準の呼吸器医療を受けられる環境を構築することが、信頼につながると考えている。

 信頼される医療の提供のために欠かせないのが、人材の確保だ。大きな強みになっているのは、北海道大学、旭川医科大学の呼吸器内科の教室と開催する初期研修医を対象にしたセミナー。千葉氏が講師だった約10年前に始め、気管支鏡の手技指導や、若手教室員がやりがいや苦労を語る企画などを実施している。毎年複数人の教室員の安定した確保につながるなど、一定の成果が出ているという。


臨床医の目線で 研究を患者に還元

 3大学の連携は人材確保にとどまらない。コホート研究では、札幌医科大学は間質性肺炎、北海道大学は慢性閉塞(へいそく)性肺疾患()などと得意分野ですみ分けし、データを共有してそれぞれの研究に役立てている。

 協力体制は先代教授の高橋弘毅氏の時から醸成されており、「医師不足の状況で、互いの足を引っ張っている場合ではない。頻繁に連絡を取り合って、住民に不利益が生じないように協力しています」と語る。

 民間企業や基礎系医学教室との共同研究を盛んに行っていることも、特長の一つ。間質性肺炎の早期診断を可能にするため、胸部エックス線から検出するAIソフトウェアの開発を民間企業と行っている。

 研究面で大切にしていのは、臨床医としての目線を決して忘れないこと。間質性肺炎の共同研究は、進行した状態で患者が紹介されることが多く、進行を抑える薬が十分に活用されていない現状をどうにか解決できないか考えたことが端緒だった。


強み見つけ 伸ばす チームで強い集団に

 教育面では、教室員の強みを見いだし、伸ばしていく。30歳代前半の頃、高橋氏に留学を打診されたが、臨床を中心に担いたいと考え、一度は断った。最終的にはアパートの部屋を訪れて説得を重ねる高橋氏の熱意にほだされ、米国に渡った。基礎研究のやりがいや面白さに気付き、自身では思いもよらぬ分野が強みになった。「教室員が自分では気付いていないような長所を見つけて伸ばすのを手伝い、チームとして強い集団をつくりたい。それが恩返しにもなるはずです」

 多忙な日々の息抜きは、田園地帯を走るサイクリング。休日にしっかりと英気を養うようになったのも、留学がきっかけ。研究室のボスは、スキー日和の休日にスキーをしなかったことを知ると、実験を失敗した時以上に怒ったという。教室員が家族を大切に、メリハリをつけて働けるような環境の整備を目指している。

 「人の生死に深く関われる」との理由で呼吸器内科の道に進んだ。みとる機会も多く、患者との向き合い方は「医療の技術を学ぶ以上に難しい」が、後進にも、患者と向き合う日々の中で果たすべき役割の大きさとやりがいを感じ取ってほしいと願っている。


札幌医科大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学講座 
札幌市中央区南1条西16 ☎011-611-2111(代表)
https://web.sapmed.ac.jp/im3/

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