九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

何が最適な選択肢か 見極める力が重要

何が最適な選択肢か 見極める力が重要


院長(おおた・ひでき)

1981年防衛医科大学校卒業。防衛医科大学校病院、
九州大学整形外科学教室、福岡市立こども病院、
大分赤十字病院、総合せき損センターなどを経て、2005年から現職。

 「痛みをなんとかしたい」という思いにどう寄り添うか。高齢化を背景に患者の心身の状態やニーズが多様化する中、対話を通した丁寧なコミュニケーションがますます求められている。整形外科領域の現状は。大田秀樹院長に聞いた。

─近年の傾向について教えてください。

 やはり、合併症や骨粗しょう症のある患者さんの割合が大きくなっていると感じています。

 当院で受け入れている患者さんの多くが、他の医療機関で治療を受けていたものの、なかなか改善しなかったケースです。安易な初回手術による神経癒着によってかなり治療の難度が上がっている場合もあり、手術しなければ痛みを取り除けない状態にある症例がほとんどを占めます。

 もちろん「この苦しみを解決したい」という強い思いは、みなさんに共通しています。ただ、手術に対する不安の度合いや合併症によるリスクは、それぞれに異なります。そうした点を丁寧に説明し、納得していただいた上で治療方針を決定します。

 当院の年間の手術件数は1000例超。そのうち脊椎の手術が6割ほどを占めています。私が大分整形外科病院に勤務し始めた15年ほど前と比較すると、逆転したという印象です。以前は脊椎が年間200例、800例ほどが手根管症候群や指の骨折、股関節、ひざ関節などの手術でした。

 最近特に増加しているのは脊椎の変形です。年齢層は70代後半から80代にかけての患者さんが中心となります。狭窄症やヘルニアなどは内視鏡手術の適応となる症例もあります。気をつけなければならないのは、低侵襲で負担が軽減できるからという理由だけで手術の方式を決めてはいけないということです。

 治療法の選択を見誤った結果、再発して手術をもう一度しなければならなくなるリスクもあるのです。さまざまなことを想定してオプションを用意しておくこと。その上で、個々の患者さんに適切な治療をどう見分けるかが重要です。

─人材の育成において心がけていることは。

 当院では、私の出身である防衛医科大学校や福岡大学の専門研修医を受け入れています。感染防止のための手洗いから始まって、縫合や止血、骨移植。まずは基礎を徹底して身に付け、段階的に技術や知識を積み上げていくことが大切です。

 例えば、内視鏡を用いた低侵襲手術などは、こうした基本的な部分を築いた上での応用に位置付けられます。大都市の医療機関であれば、専門性を絞り込んで特定の領域の患者さんを対象にした医療が成り立つこともあるでしょう。

 しかし地方の医療圏においては「専門ではないため治療できません」というわけにはいかない。当院を頼ってくださる患者さんをしっかりと治す。そのための技術を常に磨き続ける。それが私たちの役割です。

─今後は。

 当院で手術を受けた患者さんにもし内科的な合併症が起こった場合などは、近隣にある医療機関とのネットワークを活用して対応しています。

 また、円滑に回復期の病院へ転院できる仕組みも整えています。当院のスタッフが定期的に転院先を訪問するなど、退院後のフォローにも取り組んでいます。

 こうした地域連携については引き続き力を注ぎつつ、合併症のある高齢の患者さんに対する院内の体制も強化していきたいところです。総合的に診療できる内科医の確保も急務です。

 私個人としては2022年、別府で開催を予定している「第29回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会」の学会長を務めます。日程やテーマの調整はこれから。各地の医療者が集まりますので、大分の魅力を発信できる場にもなればと思っています。

医療法人一信会 大分整形外科病院
大分市岩田町1─1─41
☎097─552─5151(代表)
http://oitaseikei.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

メニューを閉じる