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住民の心と体を守る拠りどころでありたい

住民の心と体を守る拠りどころでありたい


業務執行理事・病院長(よこた・とおる)

1987年滋賀医科大学医学部卒業。近江草津徳洲会病院副院長、
西京都病院副院長などを経て、2018年から現職。

 1926年、9代目伊藤長兵衛の寄付によって開設された歴史ある病院。湖東医療圏で唯一の入院施設を備えた精神医療拠点でもある。2018年8月の就任から1年ほどを経て、「今後も地域の人々の暮らしを守っていきたい」と語る横田徹業務執行理事・病院長の思いを聞いた。

—病院の特色は。

 湖東医療圏は彦根市と、豊郷町を含む4町で成り立っており、患者さんは広範囲から来られます。338床の中規模病院ですが、開業医が少ない地域ですので、かかりつけ医の役割も担っています。地元の方からは、昔からあって何かあったら世話になる、世代が変わっても通い続ける、そんな存在ではないでしょうか。

 運営方針の柱は三つあります。一つ目は、医療・介護の質の向上。肝心なのは、意識の改革です。医療安全に関しては、スピードアップを重視。分析から取り組みまで時間がかかっていたのを、大きな事故以外でも当日に情報共有し、翌日から対策できるようにしました。クリニカルガバナンスの遵守については、職員全員が互いに意識して統制していけるよう、何度も繰り返して伝えています。

 二つ目は、働きがいのある組織づくり。医療従事者はやりがいを感じやすい職種ですが、それも心の余裕がないと難しい。労働条件をしっかり守れるよう、各部署に改善を求めています。

 三つ目は、経営の安定。経営基盤を安定させるには、稼働率を上げる、外来患者を増やす、日当点を上げる、の三つしかない。しかし地域性や患者さんの特性を考えると稼働率や外来患者を増やすのは難しい。そこで療養病棟からの機能変更で日当点を上げ、さらに病院の特長を生かしてより認知度を高めるために、この7月に開設したのが「初期認知症対応型地域包括ケア病棟」です。

—「初期認知症対応型地域包括ケア病棟」の特長は。

 急性期の受け皿として設けている51床の地域包括ケア病棟とは別枠で、認知症に特化した32床の病棟です。 物忘れが多くなった、態度が少しおかしいなど、気になる方を認知症疾患医療センター「オアシス」で診断。入院中は、患者さんとその家族への教育を中心に、生活習慣の見直しを提案。自宅で暮らし続けられるようサポートしています。まだ始まって数カ月ですが、問い合わせや紹介が増え、手応えを感じています。

 認知症を初期の段階で見つけ地域で見守っていくことのニーズは、より高まってきます。モデルケースとして注目いただけるよう努力したいですね。

—今後の展望は。

 科学は進歩しましたが、人々が幸せになったとは言い切れないでしょう。

 精神科としての長い歴史と実績がありますので、地域のよりどころとなる〝心の医療センター〟になることができればと思っています。心身を総合的に診ることで、不安が和らぐ場所になればいいですね。病気を治すのは当然ですが、精神的な安定につながればと願っています。

 科学の進歩でデバイスが発達して病院運営は便利になった反面、それに翻弄(ほんろう)されることも出てきました。患者さんのために何をすべきなのか。本質を失わないよう確認していきたいと思っています。

 私がここへ来たのは、学生時代の剣道部顧問であり、病院の代表理事をされていた友吉唯夫先生とのご縁からです。赴任直前に急逝されましたが、先生は人権に関する造詣が大変深く、「恵まれない人にも平等に」と常々説かれていました。

 豊郷町は人口約7400人の小さな町。その中で豊郷病院は一つの大きな核として、地域の人々の生活を守り続ける役割がある。友吉先生の遺志をしっかり受け継ぐべく、気を引き締めたいと思います。

公益財団法人 豊郷病院
滋賀県犬上郡豊郷町八目12
☎0749―35―3001(代表)
http://www.toyosato.or.jp/

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