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他職種によるチーム医療 リエゾン精神医療を実践

他職種によるチーム医療  リエゾン精神医療を実践

熊本大学大学院生命科学研究部 神経精神医学講座
竹林 実 教授(たけばやし・みのる)

1992年広島大学医学部卒業。
同大学医学部附属病院(現:広島大学病院)精神神経科助手、米国立衛生研究所(NIH)、
国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科科長などを経て、2018年から現職。

 多職種によるチーム医療や「」に力を入れている熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座。竹林実教授に具体的な取り組み、地域連携やコロナ禍での課題などについて話を聞いた。

―診療面での特徴は。

 児童・思春期の発達障害、気分障害、認知症を中心として、子どもからお年寄りまで切れ目なく、幅広い診療を行っています。

 精神科の診療では、メディカルスタッフの協力があるほど手厚いものが提供できます。当講座は熊本県から認知症疾患医療センター、発達障がい医療センターの指定を受けていることもあり、看護師をはじめ臨床心理士、、言語聴覚士、精神保健福祉士など、多くのメディカルスタッフが在籍。多職種の医療チームをつくり、きめ細やかなケアに取り組んでいます。

 他の診療科と連携し、身体疾患と精神疾患の治療を同時に進める「」も特徴の一つです。例えば、手術後にせん妄になった患者さんには、精神科リエゾンチームが診療科の先生と協力して治療にあたり、早期退院を目指します。がん患者さんの場合は、緩和ケアチームに精神科医が加わり心と体を総合的に治療しています。

 これらの活動は大学病院の中で大きな役割を果たしています。ただし、医療が複雑化してきており、きめ細かな対応をするには、まだ多くのマンパワーが必要であると感じています。

―研究や教育について。

 精神疾患を研究する上で、脳に直接アプローチするような手法は現実的に難しいことです。新たな脳のメカニズムの発見や、新薬の開発などは、基礎的な研究で補う必要があります。幸い、本学は基礎研究分野が充実しており、分子脳科学講座などでは精神疾患を基礎的な視点で研究しており、互いに連携しながら研究できる体制を整えています。

 若い医師への教育は、「幅広く、偏らず」がモットーです。子どもからお年寄りまで対象が広いため、臨床経験を数多く積んでほしいと思っています。多職種とのチーム医療、他の診療科とのリエゾン精神医療についても、初期の段階から身につけてもらえるよう指導を行っています。

―地域における課題は。

 熊本県は精神科の専門病院が多く、互いに密な連携も取れています。ある病院で対応が難しい患者さんがいる場合、すぐにより専門性の高い病院で引き受ける体制があります。当講座を中心として県内12カ所に設置されている認知症疾患医療センターにおいても、各病院が連携し、地域の高齢者の精神的なケアに取り組んでいます。

 一方、県内の総合病院には、精神科医がほとんどいません。そのため、身体疾患で入院されている患者さんに対して、精神的なケアが不十分な状況です。今後は精神科医の育成なども含め、課題解決に力を入れたいと思っています。

―これからの目標は。

 うつ病の生涯有病率は年々増加し、誰にでも身近に起こり得る病気の一つになっています。しかし、精神疾患は解明されていない部分が多いため、スティグマ(差別や偏見)も少なくありません。もっと一般の方にも分かりやすいよう病気を「見える化」し、治療しやすい体制を整えていくために、精神疾患の仕組みや新しい治療法などを伝えていきたいと思っています。

 新型コロナウイルス感染症の問題も無視できません。精神科の患者さんは、外泊の練習ができないため入院が長引くケースもあります。いわゆる「コロナうつ」の患者さんも増えており、統計上では女性の自殺率が上昇しています。より深刻になる可能性もあり、何らかの対策が急がれます。さまざまな職種、国、県などと協力しながら包括的な対策を講じたいと思っています。

熊本大学大学院生命科学研究部 神経精神医学講座
熊本市中央区本荘1―1―1
☎096―344―2111(代表)
https://www.kumamoto-neuropsy.jp/

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