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他施設への手術見学や短期研修を積極的に推進

他施設への手術見学や短期研修を積極的に推進

島根大学医学部脳神経外科学講座 秋山 恭彦 教授(あきやま・やすひこ)
1990年島根医科大学医学部(現:島根大学医学部)卒業。
同大学脳神経外科助手、カナダ・トロント大学、
社会保険小倉記念病院脳神経センター脳神経外科部長などを経て、2009年から現職。

 脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍を臨床診療の柱に据える島根大学脳神経外科学講座。教育、研究にも力を注ぐ秋山恭彦教授に、現状と展望を聞いた。

―臨床の現状について。

 脳卒中については、脳卒中発症後の治療ばかりではなく、二次予防にも力を入れています。脳卒中を発症ないし再発する危険性が高く、手術による合併症リスクを低く抑えられると考えられる患者さんに対しては、医学的なエビデンスに則った上で、積極的な外科治療介入を行っています。

 島根大学医学部附属病院は、2012年に救命救急センターの指定を受け、2016年には高度外傷センターが開設され、ここ数年の間に急性期の重症な脳・頭部疾患を扱う件数が急激に増加しました。

 現在、頭部外傷については外傷センターと連携し、ハイブリッドER室での手術を行っています。ハイブリッドER室は救急初療室に隣接しており、室内には手術設備はもちろん、CTや血管撮影装置などが備えられており、手術中に移動することなく、全身の検査を行いながら治療することができます。

 悪性腫瘍の手術では、腫瘍の切除と脳機能温存の両立が求められます。2018年からは、覚醒下手術を開始しました。この手術では、開頭後に患者さんを麻酔から覚まし、会話を通して、運動機能や言語機能を詳細に確認しながら行うため、手術による神経後遺症を最小限に抑えることが可能になります。

―教育の特徴を。

 医師教育にもつながる研究という意味で今、取り組んでいるのが、ITあるいはIOTを利用した、脳神経外科手術教育方法の研究です。疾患の画像情報や手術手技などのデータを、デジタル技術を用いて一元的に記録することで、若手医師の手術教育や早期の技術習得につながる研究を進めています。

 専門医の教育については、病院群連携教育プログラムを採用していることが特徴です。全国にはたくさんの大学や医療機関があり、手術方法や得意とする疾患分野はさまざまです。県内では経験できない症例もあることから、大学間や他施設との連携に力を入れています。手術に関しては遠く北海道まで、最新の医療システムを学ぶという点では、関東エリアの施設に積極的に短期研修や見学に行き、知識や手技の向上、若手医師のモチベーションのアップにつなげたいと考えています。

 教室員の手術手技習得に力を注ぐのは、やはり外科医の本領はクオリティーの高い手術を実践することと考えているからです。そのためには大学にいて本だけ読んでいてはだめですし、いろいろな施設でいろいろな技術を学ばなくてはなりません。

―今後の展望を。

 地域医療連携は課題の一つです。医療連携の中で、地域の医師との連携も大切です。県内は脳神経内科医・外科医ともに不足しており、希少疾患や診断に迷うような疾患については、地域の先生への啓発を含めた「地域医師間連携」が必要になっています。

 啓発活動は、アテローム動脈硬化性脳梗塞から、てんかんなどに対象を広げ、1~2年をかけて一つの疾患の啓発を県内全体に実施。このような活動を続けていきたいですね。

 今、医局は10人体制ですが、今後はもっとマンパワーを増やして、できれば倍の20人体制でボリュームのある医療をやるのが理想。色々な分野のスペシャリストを育てていくのがさらなる目標です。

 一つの疾患に対しても、手術の方法、治療薬など新しいことが次々と出てきます。専門家を育て、その専門家が最新の知識をキャッチアップすることで、この教室にも新たな情報が持ち込まれます。他大学や他県にスタッフを派遣しながら、臨床、教育、研究に取り組んでいきたいですね。

島根大学医学部脳神経外科学講座
島根県出雲市塩冶町89―1
☎0853―23―2111(代表)
https://shimane-u-neurosurgery.jp/

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